第2話 願いの流れ星
チャオワールド、中央大陸。
大陸南端の王国の姫は夜空に祈っていた。
流れ星に祈れば願いが叶うという伝説はチャオワールドにもあった。
占星術師によれば今夜は多くの星が流れるらしい。
ヒーローノーマルチャオの姫、ヒノカは醜い戦争を終わらせる救世主を願っていた。
激化していく戦争はもはやどの国にとっても得をするものではない。
ただ国のチャオたちが死んでいき未来が細まるのみだった。
そんなことは誰もがわかっているはずなのに争いは止まらないどころか、参加する意思のない国まで巻き込み拡大している。
だから誰か、助けて。
どの国にも属さず。
どの国よりも強く。
平和をもたらすためにこそあるような英雄。
そんな誰かがどうかこの世に現れてください――
キラリ、と夜空が光った。
まるで姫の祈りに応えて星が流れたかのようだった。
だがその光は大きくなる。
見ていると、姫のいる国へと向かって落ちてきているのだとわかった。
光は最初こそ赤く見えたが、近付くにつれて青く見えた。
落ちてくる光、その正体はソニックチャオだった。
「ぐえええええっ!!」
チャオは城の前に墜落し、ぷにぷにのぽよぽよによって大きくバウンドする。
高さ数百メートルの放物線を描きソニックチャオは姫の目の前に落ちた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「のー……」
落ちてきたソニックチャオは頭上の球をぐるぐるにしている。
ぐるぐるを巻き続けてソフトクリームみたいな形になるまでぐるぐるしていた。
相当の重傷なのだろう。
「誰か、誰か来てくださいーーっ!!」
姫は助けを呼んだ。
すぐに城の衛兵が駆け付けた。
衛兵に預けられたソニックチャオはすぐさま医者に手当てされた。
幸い命は助かった。
「う、ううん……」
「おおっ、意識を取り戻したか。きみ、自分の名前はわかるか?」
「そ、ソニくさ……ぃ……」
「そうか、ソニクサというのか。ソニクサくん、きみはどこから……」
だがソニックチャオは気を失っていた。
後に英雄と呼ばれる彼の目覚めの時はまだ先であった……。