1話 恐ろしき傷跡

平和という理想 1話 恐ろしき傷跡

「うっし。じゃあ、行くぞ?」
と、斧を持ったニュートラルチカラチャオが呼びかける。彼の名前はムホウである。

「おう。行くぞ」
返事をしたナイツチャオはシンギ。彼の体は右手はイノシシ、左手はチーター。右の羽はフェニックス、左の羽は普通、右足はイノシシで、左足はドラゴンという、とても印象的な体だった。

「んお?町長の家の前…だよな?あそこ」
と、シンギが指を指す。野次馬が沢山いて、なにか騒いでいる。野次馬の中には悲鳴をあげて逃げる者もいる。どうやら、争い事のようだ。

「どうする?乱入してみるか?」
ムホウがシンギに問う。シンギは少し悩んでから
「ちょっと、空中で状況みてみるよ。武装しているチャオが入るようなことじゃないかもしれないからな」
シンギは、空中に様子を見に行った。野次馬が囲んでいるのは、大勢のダークチャオと赤い鎧と兜のチャオ。両方とも武器を構え、戦闘態勢になっている。人間の町長が止めようとしているが、チャオ達は全く応じない。

「どうだー?」
地上からムホウが呼びかける。シンギは、地上に降り、状況を伝えた。
「じゃあ、乱入するか」
たとえ、赤い鎧と兜のチャオが強いとしても、大勢のダークチャオには勝てないだろう。そう判断した二人は、武器を持ち、野次馬をかき分けて乱入した。

「誰だ貴様っ!」
と、赤い鎧と兜のチャオは勿論、ダークチャオ達も同時に言った。

「組織に反発する者。これで十分だろ?」
シンギがダークチャオ達に言う。
「ふむ。立場上は俺の味方ってことか。助かる」
「ハッハッハッ!敵が増えようがかわまん!!そろそろやってしまえいっ!」
敵のリーダーと思われるダークチャオが指示する。すると、ダークチャオ達が突進してきた。

「敵の数は多い!確実に減らしていけ!」
と、槍でダークチャオ達を攻撃する赤い鎧と兜のチャオ。攻撃されたチャオ達は灰色のマユに包まれて消えていく。ムホウも負けじと斧を振り回す。シンギは、相手の攻撃を防ぐので精一杯だった。

「どうしたっ!その流派ならば防ぐので精一杯になるはずないだろ!?」
赤い鎧と兜のチャオがシンギを見て言う。シンギは、空に一時避難する。

「でぇぇいっ!!」
シンギは急降下しながら空中でダークチャオ達を切り裂いていく。

「グアァァァァッ!!」
シンギに斬られたチャオ達は、マユに包まれずに悲鳴と共に消滅していく。やがて、全てのダークチャオが消滅した。

「ふぅ。終わったか」
「うあぁぁぁぁぁぁ!!」
「!?」
シンギは頭を手で押さえながら倒れる。やがて、意識を失った。

「シンギ!?どうした!?」
「町長。このチャオを運んでください」
ムホウはかなり動揺しているようだが、赤い鎧と兜のチャオは冷静に判断していた。


「くぅぅ」
「お?大丈夫か?」
目覚めたシンギに一番最初に気付いたのはムホウだった。シンギは、頭を押さえる。どうやら、まだ頭が痛むようだ。そこに、赤い鎧と兜のチャオが来る。

「お前…シンギといったか?まぁ、あれだ。話しがある。質問していいか?」
「え?は、はぁ」
「んじゃあ、まずは、お前は無想流の亜流だな?」
「えぇ。そうです。紫電流で、動き回ることが特徴です」
「わかった。とりあえず、お前らと一緒に行動させてもらう。いいか?」
その質問に二人は頷く。また、今回のような事があったらムホウ一人では戦えないという判断をしたからだ。

「俺の名前はシマだ。赤のニュートラルチカラチャオだ」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第123号
ページ番号
3 / 6
この作品について
タイトル
平和という理想
作者
スマッシュ
初回掲載
週刊チャオ第123号
最終掲載
週刊チャオ第125号
連載期間
約15日