2話
トラックの荷台は人間を運べるように色々と工夫されていた。
トラックは全て荷台がコンテナみたいなタイプのやつだ。大抵GUNの輸送物は外部に漏れてはいけない物だから、中が全て覆われるタイプなのは当然のことだろう。
唯一違う事と言えば、俺が指示されたトラックは他のトラックより一回りほど小さいということだ。
他のトラックはたくさんあって、一回り小さいトラックはこの一台だけ。
他のトラックは民間人用で、このトラックはGUNの人間用。
つまり、元々助かることなど期待されていなかったわけだ。所詮足止め及び壁役だから。
「すんませーん」
そう言いながらトラックの荷台の中へと入る。トラックの荷台のドアは光を取り入れるためなのか、すぐにトラックから出られるようにするためかはずされていた。
すると、中にいた見た感じ俺と年が近そうな女の子はびっくりしたのかとても慌てながら一般人は他のトラックに乗るという事を俺に教える。
「いや、俺GUNなんですけど」
「へ?あ、は、はい!」
やっぱり生き残りがいるなんて考えていなかったようだ。まあ、他に助かっていた人もいないようだから当然だろうけど。
それに、GUNの兵士が着ている服を着ていたって血塗れですぐにはわからない状態だ。普通一般人だと思うだろう。
黒い髪を黒いゴムでポニーテールに結ったその子はその見た目だけで言えばどこにでもいそうな女の子だろう。
だが、そんな彼女がどこにでもいる女の子ではなくす特徴が一つあった。
それは、腰にまで届くほど髪が長いだとかその程度の珍しい特徴ではなかった。
その子はGUNの兵士が着る服を着ていた。つまり、彼女はGUNの兵士であるのだ。
随分昔からそのデザインは変わっていないらしいその少し暗い青を基調とした服は、GUNの兵士が訓練や作戦の時に着る物で、一般人が持っていることはまずない。
勿論、GUNには男性しかいないわけではない。事実、俺のいた支部にも女性はいた。
だがそれは実際に戦闘しない方々の話で、兵士の女性は数えたくても数えることができなかった。
「ちょっと痛いかもしれないですけど我慢してくださいね」
「ーーっ!?」
つい考え事をしてしまっていたもんだから、痛みに対する覚悟ができていなかった。
気付いた時には既に消毒液が染みこんだ脱脂綿を左肩の傷口に当てられていて、歯を食いしばる余裕も無かった俺は声なき声をあげてしまった。
「す、すみません!痛かったですか!?」
「い、いや、ただちょっと考え事してて覚悟ができてなかった」
「じゃあ、今度はしっかり覚悟してくださいね」
なんで兵士なんかになったのか聞こうと思ったけれど、治療されている左肩が痛すぎて声が出せない。
まあ、きっと事情があるのだろう。聞くのはやめておこう。
そう思った刹那、脱脂綿を思い切り押しつけられて俺は再び声なき声をあげるのであった。