『お嬢様とメイド2』

7年前


フィル「・・・なんで私のそばにいるの。」
メルト「それはメイドの仕事ですから。」
フィル「・・・ふん。」


7年前、ある日この屋敷にメイドのメルトがやってきていた。
既に数ヶ月たっている・・・二人の過去の物語である。


フィルは自分の部屋にいた。
その時部屋の扉が開いて、メルトが入ってきた、


フィル「・・・・・。」
メルト「・・・では、掃除にいってきます。」
フィル「いちいち言わないでいいわよ。」


そう言って、メルトは屋敷の掃除をしに行った。


この屋敷には、フィルとメルトしかいない。
前にフィルの家族もいたのだが・・・。
とある理由で、フィルは屋敷で一人暮らすことになった。
ただし、メイドのメルトも一緒であるが・・・。


フィル「私一人で生きていけないの知っておきながら・・・。メイドなんかよりお父様、お母様がいたほうがいいのに・・・。」


部屋の隅にある家族の写真をフィルは見た。
楽しそうに笑っている自分と、父と母の姿があった。


フィル「・・・・・ぅ。」


自分の顔をベットにある枕に顔を押し付けた。
彼女は今、悲しみに包まれている・・・。


メルト「・・・使命は果たす。敵は皆殺す。与えられた仕事は完璧にこなす。全ては主人のため。」


そうメルトは独り言をいっていた。
この言葉は、彼女が過去に学んだことなのであろう。
しかし、あまりに冷たい心の持ち主であった。


メルト「そろそろお嬢様を夕食に呼ばなくては・・・。」


メルトはフィルの部屋に向かった。
そして、二度ドアをノックしてフィルの部屋に入る。

その時見たのは、フィルの泣きつかれた顔であった。


フィル「・・・何かしら?」
メルト「そろそろ夕食の時間です。」
フィル「・・・分かったわ。」


そう言って、フィルは食堂に歩き出した。
メルトはその姿を見ていた。


メルト「・・・お嬢様が泣いていた。どうにかしなければ・・・。」


そのようなことを言いながら、メルトも食堂に向かった。
だが、この時のメルトには・・・何かが足りなかった。


その頃、屋敷の外ではあやしげなチャオ達が集まっていた。


???「とにかく、あの屋敷にいるやつをぶったおせば、財宝やら金やら沢山もらえるってわけだ。いくぞ・・・。」


一人のチャオがそういうと、彼らは屋敷の領域へと入っていった。


メルト「木の実のソテーです。」


メルトは食堂のテーブルの上にある食事の名をいった。
とてもおいしそうである。


フィル「・・・・・あんた料理とかは得意なのね。」
メルト「ありがとうございます。」
フィル「・・・別に褒めてないわよ。」


そして、フィルが食事を食べようとしたその時。


バン!!


そのような大きな音が鳴って、誰かが食堂の中に入ってきた。
全てダークチャオで、5人程度いた。


フィル「え?何々!?」
メルト「どうやら強盗かなんかでしょうね。」


それはフィルにとって、初めての体験であった。
お金持ちの屋敷で、しかも警備が薄いとなれば、強盗くらい近寄ってくるだろう。


ダーク1「この屋敷の財宝と金。そしてお前らの命をもらいにきた!」
フィル「ちょ・・・ちょっと!いきなり屋敷に入っておいてその態度!?」
ダーク4「うるせぇ!!黙ってろ!!」


そしてフィルは黙り込んでしまった。
フィルは今までに感じたことの無い、『恐怖』というものを感じていたのだった。


怖い・・・怖い・・・。
お父様・・・助けて・・・。お母様・・・助けて・・・。


フィル「死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない・・・。」
ダーク3「・・・おい。こんなへっぴり腰のやつ、さっさと殺しちまおうぜ!」


そうダーク3は言うと、フィルに向かってナイフを突き立てた。

しかし・・・。


ガキィイイン


ダーク3


メルトの持っていた、食事用のナイフで、敵の攻撃をガードした。
フィルは不思議そうにメルトを見ていた。

そして、メルトはフィルの方をみてこういった。


メルト「お嬢様。命令を。」
フィル「・・・え?」
メルト「私はお嬢様を守るのがやくめです。このチャオ達をどうしてほしいか答えていただきたいのです。」


そう言ってる間にも、ダーク3の攻撃はおさまらない。
そのたびにメルトはフィルに危害を与えぬように一生懸命ガードしている。


メルト「お嬢様。」
フィル「え、じゃあ・・・あいつらを何とか動けないようにしなさい・・・。」


そうフィルが言うと、メルトは相手のナイフを自分のナイフで弾きとばした。


メルト「了解しました。」


そして・・・メルトは天空に向かって、手を上げた。


辺りはすぐに夜になり、月光がメルトを照らしていた。
メルトの姿はあまりにもかっこよく、メルト以外のチャオは全員ポヨが!になっていた。


メルト「全てはお嬢様のために。」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第342号
ページ番号
30 / 41
この作品について
タイトル
月光のメイド
作者
斬守(スーさん,斬首,キョーバ)
初回掲載
週刊チャオ第331号
最終掲載
2009年9月16日
連載期間
約1年1ヵ月20日