『お嬢様とメイド1』
彼女は守るために存在している
守るべき時、月の光はいつでも彼女を照らしていた
そして、彼女はこう呼ばれた・・・・・
『月光のメイド』
第九話「お嬢様とメイド」
季節は冬。2月である。
ここはチャオの森。
人に捨てられたりしてくる、チャオの国でもあった。
そのチャオの森は、チャオが作った街、平原、火山など人間にとっても広い森であった。
そのチャオの森の『チャオティックルーイン』という街の北の森の奥に、一つの大きな屋敷があった。
人間が住めるような広さの屋敷で、庭も相当広い
その屋敷には、屋敷の持ち主であり、お嬢様であるF型の『フィル』。
チャオでありながらメイド服をきているメイドのNNN型の『メルト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来るツッコミをすることが多いHSS型の『ジェイド』。
屋敷の庭の管理をしているHNN型の『ピューマ』。
屋敷の地下にある図書室で幻闘術というものを研究しているDSS型の『ジェネリクト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来る瓢箪を持ち、いつも酔っ払っているNPP型の『ヴァン』。
そんなチャオがいる屋敷の話である。
フィル「はい。私の勝ち。」
そういうと、自分の手札のトランプをテーブルの前に置いた。
食堂にはトランプで遊んでいたジェイドと屋敷のお嬢様のフィルと庭師のピューマがいた。
今日は外が雨のため、今日は部屋で遊んでいたのだ。
ジェイド「また負けた・・・ばば抜きなのになんでこんなに負けるんだ・・・。」
ピューマ「フィルさん凄いですー。」
フィル「運も実力のうちよ。後、私にポーカーフェイスは効かないから。」
人の心の中をよんでいるのか・・・恐ろしい奴・・・。
フィル「・・・・・。」
フィルは食堂の入り口の方をじっと見ていた。
・ ・・どうしたんだ?
ジェイド「どうした?」
フィル「・・・いや、なんでもないわ。ポーカーでもする?」
ジェイド「結局運だけどな・・・。」
こうして、またゲームを始めることになった・・・。
しばらく時間がたった。一時間程度だろうか?
未だにトランプゲームをしていたが・・・フィルがさっきから何かを気にしているようだ。
ジェイド「フィル。」
フィル「なによ?」
ジェイド「お前・・・さっきから何を気にしているんだ?」
ピューマ「さっきから気になっていましたー。」
どうやら、ピューマさんも気づいていたらしい。
それ程フィルが落ち着いていなかったのだろう。
フィル「・・・さっきから、メルトがこないのが気になるのよ。」
ジェイド「メルトさんが?」
ピューマ「そういえば、一度もここに来てないです・・・。」
確かに。
お嬢様であるフィルの様子を見にちょくちょくくるはずなのだが、今日は現れる気配が無い。
フィル「様子を見に行ってくる。」
ジェイド「あぁ・・・。」
そういって、フィルは食堂からでていった。
雨はどんどん強くなっていた。
ピューマ「雨・・・やまなそうですね・・・。」
ジェイド「そうですね・・・帰りどうしよう・・・。」
その時・・・。
きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!
!?
ジェイド「今の声は!?」
ピューマ「フィルさんです!!」
俺達は急いで、食堂の扉を開けて廊下に出た。
フィルの声がしたが、この広い屋敷のどこにいるか分からない。
困惑していたその時。
しっかりしなさい!!
そうフィル声が聞こえてきた。
メルトさんの身になにかあったのだろうか?
とにかく、声のした方に走っていった。
ヴァン「よ!少年。」
途中で、ヴァンと合流した。
ヴァン「なにやらただならぬ予感だねぇ。急いだほうがいいかも。」
ジェイド「言われずともそうしますよ!」
こう見えても自分はHSS型だ。
足の速かったので、ピューマさんとヴァンさんを追い抜いて、フィルの元に向かった。
そして、フィルの元について目にしたものは・・・。
ジェイド「メルトさん!?」
メルトさんが苦しそうに倒れていた。
息が荒い・・・呼吸が乱れているようだ。
フィル「メルト!!しっかりしなさい!!メルト!!」
あの冷静なフィルが動揺している・・・。
その後に、ピューマさんとヴァンさんもきた。
ピューマ「これはどうなっているんですか!?」
ヴァン「フィルー。ちょっとどいてみて。」
フィルはヴァンの言うことを聞いてメルトから離れる。
ヴァンが、メルトさんをしらべていた。
ヴァン「熱だね。ありえないと思うけど、インフルエンザかも。」
ジェイド「インフルエンザ?」
ヴァン「この時期に流行るとは思わないんだけどねぇ・・・変な鳥でも近づいてきたのかな?ともかく、ジェネリクト呼んできて。多分こっちに来てると思うから、途中で合流するかも。」
ジェイド「分かった。」
そう言い返して、俺は屋敷内を走っていった。
あの強いメルトさんがこうなるとは・・・。
ジェネリクトさんを呼んでくると、一旦メルトさんは自分の部屋に移された。
ジェネリクト「・・・熱だね。かなり疲労しているようだ。インフルエンザではないよ。」
ヴァン「仕事の疲れがあったせいかもね・・・これは。」
ジェネリクト「確かに・・・このままじゃ危ないね・・・。」
そんな話を聞いていたフィルは落ち着いていられなかった。
フィル「ねぇ!メルトは死なないんでしょうね!?」
ヴァン「う~ん。多分大丈夫だと思うよ・・・。」
フィル「多分って何よ!!ねぇ!!はっきりしなさいよ!!」
そんなわがままを言っているフィルを見て俺は・・・
ジェイド「フィル!!」
怒鳴ってしまった。
一度、ビクっと体を振るわせたフィルは、ゆっくりとこっちを振り向く。
ジェイド「今は、治療が先だ。黙ってみているんだ。」
フィル「・・・・・。」
フィルはそのままうつむいてしまった。
ピューマさんはそのまま部屋から出て行ってしまった・・・この状況が怖かったのだろう。
ジェネリクト「一応、幻闘術で回復させたけど・・・回復速度があがるだけだからね。僕は医者を呼んでくるから、面倒を見ていてくれ。」
ジェイド「分かりました。」
幻闘術とは火、氷、雷、風、光、闇の6つの自然現象を利用した戦闘術。取得するには数々の訓練が必要である術である。
その中にも回復術はあるが、回復の速度があがるだけで、容態がよくなるかどうかはメルトさん次第だという。
フィル「・・・ここは私に任せて。二人はゆっくりしてきなさい。」
そうフィルに言われたので、おとなしくここは出て行くことにした。
ここはフィルに任せたほうがよさそうであるからだ。
ヴァン「あのお嬢様も、あんな感じになることがあるんだねぇ・・・。」
ジェイド「それほど、メルトさんが大切なんでしょう。メルトさんだったら、きっと大丈夫でしょう。」
そう言って、各自休むことにしたのだ。
メルトの部屋にフィルとメルトがいた。
メルトは、今でも苦しそうにしている。
フィル「・・・・・メルト。」
フィルは少し過去の出来事を思い出していた・・・。