『雪の宴』1
彼女は守るために存在している
守るべき時、月の光はいつでも彼女を照らしていた
そして、彼女はこう呼ばれた・・・・・
『月光のメイド』
第七話「雪の宴」
季節は冬。12月である。
ここはチャオの森。
人に捨てられたりしてくる、チャオの国でもあった。
そのチャオの森は、チャオが作った街、平原、火山など人間にとっても広い森であった。
そのチャオの森の『チャオティックルーイン』という街の北の森の奥に、一つの大きな屋敷があった。
人間が住めるような広さの屋敷で、庭も相当広い
その屋敷には、屋敷の持ち主であり、お嬢様であるHFF型の『フィル』。
チャオでありながらメイド服をきているメイドのNNN型の『メルト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来るツッコミをすることが多いHSS型の『ジェイド』。
屋敷の庭の管理をしているHNN型の『ピューマ』。
屋敷の地下にある図書室で幻闘術というものを研究しているDSS型の『ジェネリクト』。
屋敷の住民ではないが、遊びに来る瓢箪を持ち、いつも酔っ払っているNPP型の『ヴァン』。
そんなチャオがいる屋敷の話である。
朝、いつものように戦闘の訓練をしようと、メイドのメルトが屋敷の外に出てきた。
すると、目の前の光景は・・・。
メルト「あら、もうこのような季節なのですね・・・。」
外は白い世界・・・雪が降っていた。
すでに雪が地面に積もっていて、冬にふさわしい光景だった。
メルト「・・・この時期は屋上の掃除が大変になりますね・・・ジェネリクトに頼むことにしましょうか。」
この屋敷には屋上がある。
つまりそこに雪が積もることになっているのだ。
いつも屋敷の掃除をしているメルトにとっても、さすがに屋上の雪かきは終わらないと思い、ジェネリクトに頼むことにしたのだ。
メルトは訓練が終わると、すぐさまジェネリクトのいる地下1階と図書室に向かった。
そこには、本を読んでいるジェネリクトがいた。
時刻は6時であったが、ジェネリクトは早起きのため既に起きていたのだろう。
ジェネリクト「どうしたんだい?こんな時間に珍しい。」
地下でいつも幻闘術(幻闘術とは火、氷、雷、風、光、闇の6つの自然現象を利用した戦闘術。取得するには数々の訓練が必要である。)の研究しているジェネリクトはメルトに向かってそう言った。
メルト「あなたはたまには外を見たほうがいいですよ・・・寒くないのですか?」
ジェネリクト「あぁ、火の幻闘術で体を温めているからね。」
メルト「あまりやりすぎると死にますね。」
ジェネリクト「ちゃんと調節しているよ・・・。」
チャオは水がないと住めないため、火は基本的タブーである。
ジェネリクト「で?外がどうかしたの?」
メルト「雪が降っています。」
ジェネリクト「・・・あぁ、もうそんな時期だね。」
メルト「屋上が心配なのですが・・・ジェネリクト、毎年のとおり・・・。」
ジェネリクト「あぁ、屋上の雪を定期的に溶かせばいいんだね。分かった。」
ジェネリクトは火の幻闘術を使える。
そのため、雪を排除するのはすぐさまできるという便利な人である。
別にいつもジェネリクトが図書室にひきこもっているわけでもないので、毎年このようにメルトはお願いしているのだ。
メルト「では、あとでまた・・・。」
そう立ち去ろうとしたメルトにジェネリクトは話しかけた。
ジェネリクト「今日は忙しくなりそうだねぇ・・・。」
メルトは振り返る。
メルト「仕方ないです。雪は自然に降るものですから、毎年雪を排除しないと・・・。」
ジェネリクト「いや、そういう意味じゃなくて。」
メルト「?」
そして、ジェネリクトが忙しくなる原因を言った。
ジェネリクト「・・・お嬢様の世話だよ。」
フィル「ジェイド。外にいくわよ。」
さっき、この屋敷にきたばっかの俺をこの屋敷のお嬢様のフィルは外に連れて行こうとした。
いきなりなんなんだ・・・。
ジェイド「すまん。外は寒いからあったまってからにしてくれ。」
フィル「どうせ外に行くんだから一緒じゃない。」
ジェイド「頼むから待ってくれ・・・。」
フィル「うるさい、黙れ。行くわよ。」
しぶしぶ外に行くことになった。
その様子をメルトは見ていた。
メルト「ジェネリクト・・・確かに今日は忙しくなりそうです。」
そう、誰もいない部屋で呟いた。
外には、既にピューマさんがいた。
こんな日でも庭の手入れをしているのか・・・雪かきって庭師の仕事だったか?
ピューマ「あー。フィルさん、ジェイドさん、メルトさんおはようございますー。」
ピューマさんはそう挨拶してきたので、皆も挨拶をした。
未だに雪が降り続いているのが、正直キツイ。
フィル「さて・・・何して遊ぼうかしら。」
やっぱりそうなるのか・・・。
このお嬢様は、楽しく過ごすことしか考えていないからなぁ・・・。
フィル「まず、雪だるまをつくろうかしら。」
つくろうかしら。じゃねぇよ。
なんでつくることになっているんだよ。
精神的にフィルは子供っぽいことがよく分かる。
フィル「一番大きい雪だるまをつくった人が勝ちね。」
ジェイド「なんでそんな流れになっているんだ・・・。」
フィル「ビリだった奴は雪埋めの刑ね。」
なんか怖いなそれ。
雪埋めって、運が悪いと死ぬんじゃないかそれ。
こうして、俺達四人は何故か雪だるまを作ることになったのである。