『酒は力なり』2
俺は家に一度帰り、親を説得して再びフィルの屋敷に行った。
親は少し驚いていたが、しぶしぶ了承してくれた。
最初のうちは親は、変なチャオ(メイド服をきたチャオの事)がいるということで、あまりあの屋敷のことを良くは思っていなかったらしいが、最近は自分があまりにもよく遊びに行くので、どうでもよくなってきていた。
そういうわけで、屋敷に戻ってきたのである。
俺達は、屋敷に入って西側の方にある和式の部屋に集まっていた。
障子がたくさん並んでおり、外に廊下が存在し、庭にある桜や月などを一望することができる。その庭の中央に咲く桜はとてつもなく大きくて美しく咲いている。
集まったのは、この屋敷の住民とその他二名であった。
メルトさんとフィル、俺。
NPP型で瓢箪を持っているヴァンさん。
HNN型で屋敷の周りの管理の庭師のピューマさん。
DSS型で屋敷の図書館で幻闘術(幻闘術とは火、氷、雷、風、光、闇の6つの自然現象を利用した戦闘術。取得するには数々の訓練が必要である。)の技の発明をしているジェネリクトさん。
以上のメンバーが集まっているのであった。
ヴァン「いやー、こんだけ綺麗な満月だと酒がうまいねぇ。」
障子を開けた先には、見事な満月が辺りを照らしていた。
残念なのは桜がすでに木々に変わっていたことであろう。
フィル「あんたはいつも酒を飲んでるけどね。」
ヴァン「黒霧島だよ。飲むかい?」
フィル「けっこうよ。ジェイドに飲ませれば?興味あるでしょ?」
ジェイド「おまえなぁ・・・。」
と言ったものの、確かにお酒なんてものめった見られないので、興味があった。
チャオの森には、そんなものがあるなんて聞いたことないからな・・・。
ジェイド「一口くらいなら・・・。」
ヴァン「お?いい挑戦だね。私はそういう奴大好きだよ。」
フィル「結婚すれば?」
ジェイド「なんでそうなるんだよ・・・。」
その時、ジェイドは少し違和感を感じたが気にしないことにした。
ヴァンさんは瓢箪からコップにお酒を注いだ。
お酒は透明な色をしていたが・・・・・気になることが一つ。
ジェイド「・・・なんだこの匂い。」
メルト「お酒の匂いです。」
ジェイド「いや、そのくらいは分かりますが。」
ジェネリクト「アルコールっていう物質の匂い・・・聞いた限りではそうらしいよ。」
とたくさんの知識を持っているジェネリクトさんが言ってくれた。
よし・・・飲むぜ・・・。
そういって一気にお酒を飲・・・ん・・・だ・・・・・?
ま・・・・・わ・・・り・・が・・・まわ・・って・・い・・・る・・?
フィル「あらら。まぁ、こうなるとは思っていたけどね。」
ジェネリクト「お酒は体に毒らしいしね・・・チャオが飲んだらおかしくなるのは当然だけどね。」
こいつら・・・・知ってて俺にそんなこと・・・・させたのか・・・。
ジェイド「お前ら・・・・・。」
ヴァン「お?気絶しないとはたいしたもんだ。水割りもしていない100%アルコールの酒だというのに。」
ピューマ「大丈夫ですか・・・?」
そういって、ピューマさんが俺を心配して来てくれた。
なんと優しい人なんだろうか。・・・怒ると怖いけどね。
そして、俺に水を差し出してくれた。それを飲むと少しは楽になることができた。
メルト「ジェネリクト。そこまで知っててジェイドさんに忠告しなかったのですか。」
ジェネリクト「忠告なんかしたら、お嬢様に怒られてしまうよ。メルトだって知ってたはずだろう?」
メルト「まぁ、そうですね。」
なんか知らんが、どうやらフィルを中心にはめられたということが分かった。
フィル「あなた達、よく分かっているわね。」
ジェイド「お前・・・。」
フィル「私はなんて忠実な人達がいるのかしら。ジェイドをはめるのはおもしろいわね。」
ジェイド「てめぇ・・・!!」
と口では言えるが、殴りにいけそうにはない。
未だに頭の中がくらくらしている・・・死にそうだ。
ピューマさんが濡れたタオルを持ってきた。本当に優しいなぁ。