『月光のメイド』2
フィル「ふーん、あんたが殺されかけている奴ね。」
食堂らしき場所に連れてこられ、そこにお嬢様と呼ばれるチャオがイスに座っていた。HFF型のチャオであった。
フィル「名前はなに?」
ジェイド「ジェイドです。」
フィル「そんなことどうでもいい!」
ジェイド「あなたが聞いてきたんじゃないですか!!」
フィル「うるさい、黙れ。」
なんだこのチャオ・・・・・。
どうやら、ひねくれ者なのかもしれない。
フィル「私はなんで殺されかけているのか聞いてるの。」
ジェイド「初耳なんですが。」
フィル「そのくらいテレパシーで分かりなさい。」
ジェイド「無理ですよ!!」
フィル「うるさい、黙れ。」
メルト「お嬢様。楽しむのはそこそこにしましょう。」
フィル「えぇ、そうね。」
なんだこいつら!?
なんでこんなにいぢられて楽しまれているんだ!?
なんだかんだで、なんで僕が追われているのか彼女らに話始めた・・・・・。
フィル「ふーん。ということはあんたは誘拐にあって、それから逃げ出したと。そして、身代金を請求しているから、あんたをそいつら捕まえに、あんたを襲ってくると。」
ジェイド「はい。」
フィルはため息をついた。
フィル「厄介な奴いれたわね、メルト。」
メルト「それは・・・。」
フィル「黙れ。」
メルト「黙りたくないのですが。」
フィル「だったら、そのことを言うな。」
メルト「かしこまりました。」
なんか自分勝手なお嬢様である。
メルトさんは大変そうだ・・・。
ジェイド「ちなみに、この屋敷は他に人がいるんですか?」
フィル「教えるか馬鹿。」
ジェイド「なんだと!?」
フィル「逆らう気なの?」
ジェイド「・・・・・いや、止めておきます。追い出されたら困るので。」
我ながら冷静な判断である。自分に褒めてあげたい。
メルト「私から説明をしてもよろしいでしょうか?」
フィル「別にやんなくてもいいでしょ。」
メルト「お嬢様。」
メルトさんはフィルの目をずっと見続けた。
やがてフィルは観念したのか、ポヨがグルグルまきになった。
フィル「・・・分かったわよ、勝手にしなさい。」
とフィルが言った。
メイドがお嬢様を説得するっていうのもどうなのかと思った。
メルト「この屋敷には、私とお嬢様。そして他に図書館で幻闘術の研究をしている『ジェネリクト』と屋敷の周りの管理をしている庭師の『ピューマ』さんの計四名がいます。」
ジェイド「計四名・・・ですか?」
メルト「はい。」
なんという屋敷の無駄遣い。
この広い屋敷にチャオ4人しかいないとは・・・・・。後50人以上いてもいいくらいなのに。
ジェイド「・・・・・?もしかすると屋敷の中の管理は・・・。」
メルト「私一人でやっております。掃除、洗濯、料理、屋敷の修理、お嬢様の世話などが主な仕事です。」
ジェイド「全部一人ですか!?」
メルト「そのくらいできます・・・・・さすがに掃除は一日で全部せずに、日にちごとに掃除する場所を変えるようにしていますが・・・。」
それだとしても大変凄い事になるのだが・・・・・。
フィル「メイドなら当然でしょ。」
ジェイド「あなたは何をしているのですか?」
フィル「ご飯を食べる、遊ぶ、寝るくらいかしらね。」
ジェイド「・・・・・。」
フィル「普通のお嬢様はそんな感じよ?」
ジェイド「まぁ、そうなんですが・・・。」
フィル「なんか文句あんの?」
ジェイド「いえ、何も。」
どうやら、フィルに勝てそうな気がしない・・・精神を攻撃するのが得意のようだ。
ん?待てよ・・・・・?
僕のポヨが?に変わる。
ジェイド「あの・・・・・さっき、どこかの部屋で誰かが倒れていたのを見たんですが・・・・・。」
フィル「倒れていた?・・・メルト。ジェネリクトとピューマは?」
メルト「さきほど確認されました。ジェネリクトは図書館。ピューマさんは庭の手入れをしておりました。」
庭にピューマさんがいたのに僕は気づかなかったのか・・・どこにいたんだろう。
フィルは誰が倒れているのかをしばらく考えていたが、やがて一つの答えを見つける。
フィル「あぁ、あいつね。」
ジェイド「あいつ?この屋敷に住んでいる人ですか?」
フィル「いや、あいつは『ヴァン』といって、屋敷に遊びに来る酔っ払いよ。はっきり言って迷惑だけど。」
とフィルが言う。
警備はそこまで万全ではないのか・・・。
フィル「あんた、お風呂に入ってきなさい。」
そういきなり僕に向かって命令した。
ジェイド「何故いきなり・・・。」
フィル「臭い。」
ジェイド「率直に言わないでください!」
フィル「うるさい。黙れ。」
どうやら、フィルの口癖は『うるさい。黙れ。』のようだ。
メルト「確かにここまでずっと走ってきたのでしょうから、汗を流したほうがよいでしょう。浴室にご案内します。」
フィル「それがいいわ。ほら、ささっと行きなさい。」
もうどうにでもなれ。
そう思い、僕はいわれるがままに浴室に案内された。