10
ウォーターは益々険しい顔になっていきます。
すると、ちらっとアイリスがウォーターの方を向きました。
そして、ウォーターの顔を見て、すぐさま駆け寄ってきました。
アイリス「どうしたの?何かあった?」
下から上目遣いで心配そうに見つめてくるアイリスを見て、ウォーターの内心はパニックに陥っていました。
ウォーター(かっ…可愛い…っ、や、やべぇ…)
そのまま硬直してしまったウォーターの脇腹に、リングの肘が入りました。
どすっ……
ウォーター「うぐっ!!?……ぁ、だ、大丈夫、何でもないぞ」
アイリス「そう?それならいいけど…何かあったら言ってね?」
ウォーターは軽く頷きました。
フレイヤ「ねーアイリスー!ちょっとこっち来てー!」
アイリス「何々ー?今行くねー!」
アイリスは走ってフレイヤの所へ行きました。
リング(なるほどー…やっぱりなぁ)
何故兄の態度が変だったのか、薄々感づいてはいたが、今の件で確信に変わりました。
リング「おい兄さん、ちゃんと言わなくていいのかよ?」
ウォーター「な、何がだ?」
ウォーターはまだ少し動揺している様子です。
リング「兄さんの考えてることはお見通しなんだよっ」
ウォーター「……」
リング「ま、俺も散歩行って来るとしよー」
リングは小走りで森へと向かっていきました。
ウォーター「うーん…まずはお茶にでも誘って、その後はえーと…」
ウォーターは頭のなかでシュミレーションを繰り返していました。
アイリス「フレイヤ、どうしたの?」
フレイヤ「見て見て!これ!」
見ると、そこには一輪の綺麗な花が咲いていました。
アイリス「うわぁー…綺麗……」
フレイヤ「でしょ?アイリス絶対好きだと思ったんだよねーこういうの」
フレイヤはうんうんと頷きながら満足そうな顔で言いました。
アイリス「さっすがフレイヤ!よく分かってるよねぇー」
フレイヤ「あははっ、そりゃ勿論!」
ウォーターは、その二人の会話を聞き逃しませんでした。
ウォーター(えーっと、アイリスはああいう花が好き…と)
カリカリ…
手帳を取り出し、メモをしました。
ウォーター(ふむ…今度花束でもプレゼントしようか…そしてそのついでの様に見せかければ…うんうん、それもありだな)
またシュミレーションを延々と繰り返し始めました。
暫くして、チャオ達は皆食事を終えました。
ヒビキパパ「ちょっとドライブに行くかい?」
ヒビキ「行くいくー」
チャーニイ「ボクも行くー」
ヒビキママ「じゃあ私も行くわ」
ヒビキパパ「それじゃあ皆、少し出かけてくるよ」
チャオ達「行ってらっしゃーい」
ヒビキ一家「言ってきまぁーす」
そして、ヒビキ達一家は、ドライブに出かけました。