アイリス「さーて!お手紙×2~♪…あれ?」
メーデ「どうしたの?」
アイリスはフレイヤに手紙を書こうとして、あることに気づきました。
アイリス「便箋が無くなってる…」
リリカ「なってるー」
いつも置いてある場所に、便箋が無かったのです。
アイリス「あっれぇー?メーデ知らない?」
メーデ「知らないわよー」
アイリス「あれフレイヤとお揃いの便箋なのにー…うぅ……」
アイリスは相当ヘコんでいるようです。
リリカ「うー」
メーデ「ん?リリカ、何持ってるの?」
メーデはリリカの持っている物を見せてもらい、腰が抜けました。
アイリス「…何やってるの?メーデ……あ」
リリカが手にしている物は、アイリスの便箋でした。
リリカ「あげるー」
アイリス「……それワタシのだし」
リリカ「う?」
メーデ「っていうかよく取れたね、あんなとこから」
便箋は木の上に置いてあったのだ。コドモであるリリカに取れるとは到底思えない。
アイリス「すご…」
メーデ「てゆーか今も飛んでるし……高」
リリカ「うー」
小さな羽根をパタパタと動かし、リリカは木の上を悠々と飛んでいた。
アイリス「リリカぁー、こっちにおいでー」
リリカ「おいでぇー」
リリカは真似をしながらアイリスの元へ降りてきた。
アイリス「あのねリリカ、これはワタシのものなの。勝手に持って行っちゃ駄目だよ?」
リリカ「いっちゃだめだよ」
アイリス「はぁ……分かってるのかなー?」
リリカ「わかってるー」
アイリス「……!?」
いつの間にかリリカは言葉を覚え始めていたようです。
メーデ「くすっ、リリカも成長してるみたいね」
リリカ「ぅー」
アイリス「…分かったってことかな?」
リリカの成長に期待が高まる二匹がそこにいました。
メーデ「どーでもいいけど、まだ手紙書いて無いよね」
アイリス「あ……忘れてた」
リリカ「わすれてた」


メーデ「やぁーっと書き始めたわね、アイリス」
リリカ「うー」
メーデ「邪魔しないであげてね、リリカ」
リリカ「じゃま?」
最近、リリカはメーデと一緒に言葉の勉強をしているそうです。
分からない単語をリリカが聞き、それに答えているのがメーデ。
なので進みは恐ろしく遅いですが、一つずつ、確実にリリカは言葉を覚えていきます。
メーデ「うーん…とりあえず今アイリスに話しかけたりしないでってこと。手紙書いてる最中はフレイヤのことで一杯だから」
リリカ「わかったー」

アイリス「~♪」
アイリスは呑気に鼻歌を歌い手紙を書いていました。
メーデの気遣いになど全く気づかず。
アイリス「そーだ、洞窟の近くで変なカボチャ見つけたこと書こーっと」
メーデ(カボチャ…?そんなんあったんかい!?)
気になったメーデは、洞窟を覗きに行ってみました。
メーデ(あった…つか何この色)
カボチャに見える物体は、何が起こったか紫色をしていました。
リリカ「うー?」
メーデがなかなか戻ってこないので、リリカは洞窟に来てしまいました。
メーデ(あっ、やば…こんなん見せたら絶対騒ぐわ)
慌てたメーデは、リリカの目の前に走っていきました。
メーデ「ごめんねリリカぁ、さーさ、遊ぼっかー」
リリカ「あそぶぅー」
何とかその場を乗り切ったメーデは、心底から安堵して、リリカの遊び相手をしていました。

メーデが暫くリリカと遊んでいる内に、アイリスが大声を上げました。
アイリス「でっきたーぁ!」
リリカ「でっきたー」
アイリス「よーし、じゃあ封筒に入れて宛名書いてー」
メーデ「アイリスー、来てるわよー」
メーデは空を飛んでいる鳥を指差しました。
アイリス「はいはぁーい!じゃあよろしくね、鳥さん」
手紙を足に引っ掛けると、鳥はどこかへ飛んでいきました。
あの鳥は、郵便鳥。毎日決まった時刻にチャオガーデンの上を飛んでいて、アイリスは手紙を書くと、その鳥にフレイヤまで届けてもらうよう頼むのです。
アイリス「ちゃんと届くかな?」
メーデ「届くでしょうね」
リリカ「とどくー?」
メーデ「んとね、フレイヤっていうアイリスのトモダチのところに手紙が渡るってことかな」
アイリス「メーデってあんまり説明上手じゃないよね」
メーデ「うるさいわね!仕方ないじゃない」
リリカ「しかたなーい」
メーデ「……ほら、分かってるからいいのよ」
アイリス「ま、いいけどねー」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第267号
ページ番号
2 / 33
この作品について
タイトル
ガーデンのヒミツ
作者
神崎揚羽(紅黒梓)
初回掲載
週刊チャオ第266号
最終掲載
週刊チャオ第312号
連載期間
約10ヵ月19日