第6話
翌日、啓作はチャオガーデンへの入り口の前に来ていた。
「坊ちゃま、これはチャオキーといって、これさえあればいつでも自由にチャオガーデンへ入る事が出来ます」
田中は、昨日こう言った。
僕は、田中に指定された場所に来た。
指定された場所と言っても、ここは家の屋敷の庭の一角だった。
僕は家のことには関心がないので、昨日の防音の壁のごとく、こんな庭のことなど塵ほども知らなかった。
が、鍵を使うべきであろうドアがない。
時計は、十三時を回っている。
この時期には一番暑くなる時間帯だ。
学校が休みだから、せっかく来たのに入れないんじゃなぁ。
「早くチャオに会ってみたいたいな」
啓作は、そう呟き家路を辿ろうとした時、メイドが駆け寄って来た。
「啓作様。鍵をお渡し下さい」
そう言うと、鍵を僕から受け取り
「チャオガーデンへ」
あの装置が出現した。
どうやら田中は、啓作にチャオガーデンへの行き方を伝えていなかったらしい。そういう訳で、メイドが急遽駆け付けたのだそうだ。
「では、いってらっしゃいませ」
僕は、空間移動装置に足を踏み入れた。
−−−続