第6話

翌日、啓作はチャオガーデンへの入り口の前に来ていた。


「坊ちゃま、これはチャオキーといって、これさえあればいつでも自由にチャオガーデンへ入る事が出来ます」

田中は、昨日こう言った。


僕は、田中に指定された場所に来た。
指定された場所と言っても、ここは家の屋敷の庭の一角だった。

僕は家のことには関心がないので、昨日の防音の壁のごとく、こんな庭のことなど塵ほども知らなかった。

が、鍵を使うべきであろうドアがない。

時計は、十三時を回っている。
この時期には一番暑くなる時間帯だ。

学校が休みだから、せっかく来たのに入れないんじゃなぁ。


「早くチャオに会ってみたいたいな」

啓作は、そう呟き家路を辿ろうとした時、メイドが駆け寄って来た。

「啓作様。鍵をお渡し下さい」


そう言うと、鍵を僕から受け取り
「チャオガーデンへ」


あの装置が出現した。

どうやら田中は、啓作にチャオガーデンへの行き方を伝えていなかったらしい。そういう訳で、メイドが急遽駆け付けたのだそうだ。


「では、いってらっしゃいませ」
僕は、空間移動装置に足を踏み入れた。


−−−続

このページについて
掲載日
2010年4月10日
ページ番号
15 / 17
この作品について
タイトル
振り返れば、あの日と同じ坂道
作者
チャフカ(エキドゥナファン)
初回掲載
週刊チャオ第328号
最終掲載
2010年5月16日
連載期間
約1年10ヵ月19日