第4話
「さあ坊ちゃまこちらへ」
田中はそう言うと目の前の装置に足を掛けた。
それに続き父も足を掛ける。
「……!!」
一瞬、光が二人を包んだと思ったら二人の姿は消えていた。
ちょっと待ってくれよ…。
啓作は無意識に二人の後を追って、謎の装置に足を掛けた。
瞬間…。
僕の目の前には二人の姿、そして見たことのない宇宙空間のような場所が広がっていた。
啓作の姿を確認した二人は何も言わず、奥へ進んで行った。
見ず知らずの場所で、聞きたいことは山ほどあったがこんな状況で一人になっては大変だ。
僕は素直に二人に付いて行った。
ゲートのようなものをくぐり、見ると目の前には、大きな滝とその奥に洞窟、なにやら木の実の成っている木が三本、そして一つの卵があった。
「啓作、ここはチャオガーデンという場所だ」
「チャオガーデンとは、何ですか?」
家柄の都合上、啓作は、昔から父親には敬語を使っていた。
「あそこに卵がありますよね。あの中から、チャオといわれる生物が産まれて来ます。チャオを口で説明するのは難しいです。すみません坊ちゃま」
執事の田中が答える。
「どうして俺をここへ連れて来たんですか?」
「明日は、お前の誕生日だ。少し早いが、プレゼントだと思ってくれ」
父は、平素を装って言ったのだろうが、息子と執事には恥ずかしさを隠しているのが分かった。
「あ、ありがとうございます」
「では、田中。後は頼んだ」
「かしこまりました」
そう言うと父は、チャオガーデンをあとにした。
「坊ちゃま。今日はもう遅いですし、また明日来るとしませんか?他にも、案内したい所がありますので」
「えっ、あ、うん」
啓作には、状況…いや、状況もだが、実感が沸かなかった。
そのため、田中の判断に従うことになった。
啓作は、執事と共にチャオガーデンをあとにした。
−−−続