第3話
宿題…多過ぎる……。
また、土日が土日でなくなるよ。
「はぁ…」
彼は、ため息をついてケータイを取り出す。
その液晶は、開くと二十三時半を知らせている。
登録してある番号の一番上になっている人に、電話を掛ける。
二回目のプルルルで、出た。
「はい」
彼は、ふっと笑う。
「やっぱり二回目で出たね。田中」
「人様を待たせるのは、良くないですからね」
「そうだね。終わったから、迎え来て」
「かしこまりました」
七、八分もすると迎えが来た。
「あっ、田中。コンビニ寄ってくれる?」
「すみません坊ちゃま。今日は、旦那様より、すぐに帰らせるよう言われております」
「えっ、父さんが?」
なんだろ。
この前のテストはまあまあだったし、ピアノも練習してる。
彼には、父親に叱られる理由が思いつかなかった。
いや、父親に叱られるだろうという考えしかなかった。
車の中で、眠っていたのだろう。意識がぼんやりしている。
「坊ちゃま。着きました」
「う、うん……えっ?」
「遅かったな」
彼は、目の前に父親がいたから驚いたのではない。
ましてや、左手にある携帯電話の液晶が日を跨いて数分経ったのを知らせていたのに驚いたのでもない。
目の前に、周りの空き地には遠く似つかわしくない見るからに科学の結晶と思える装置があったからだ。
−−−続