5話 ~格の差~
「それでは…第1試合始め!」
審判の合図に続き観客達が声を轟かせる。
この大会のルールは3匹が同時に闘うのでチームワークが重要となる。
チームベルのメンバーはエルノ、フォス、レノンである。
「え�りぃでぃちゃおずですら大変なのにFTUREも出るんですか?」
「何を言う!我々のことを庶民に知らせるチャンスでは無いか!行くぞ。」
フォスがRPGの初期武器で有りがちな小さなナイフらしき刃物をだし走ってくる。
しかしもう遅かった。フェニクは既に後ろに回り首の中央のラインにあわせ剣を伸ばしている。
「話にならん…、貴様らなど他小説で頑張ってればよいのだ。」
「あわわわ…エルノ君、何をしている。早く助けたまえ!」
こちらも遅かった。プラムはよくある「動いたら殺すぞ」みたいなポーズで取り押されている。
レノンは魔法にやらればたんきゅーな状態である。
「ふふふふ…私達がこの程度でギブアップでもするかと思ったのか?」
「レノンさん、私達だけでも戻りましょう。巻き添えは勘弁してほしいので。」
するとレノンとエルノはダッシュでガーデンに戻っていった。
フォスは取り残されたがうろたえること無く胸をはっている。
「臆病者達め…君たちなど私1人で十分、かかってきたまえ。」
「どっかで後悔するノサ…カオスストーム!」
黒い色をした竜巻きが複数襲い掛かる。大きさは中々大きく簡単にはさけられない。
フォスは竜巻きを避ける様子も見られず、その場で立ち尽くしている。
「気が狂ったか?あいつ動かねぇぜ?これは俺達の勝ちだな、フェニク。」
「……いや、未だだ。何か裏がある。」
フォスは竜巻きに直撃した…はずだった。
しかし竜巻きがおさまった所には灰すら無かった。
「ちっ…どこいったノサ!?」
「私の居場所が分からないかね?上だよ!」
確かに上空からフォスが落ちてきた。
ミヒューはすかさず魔法を放ったがフォスに当たった瞬間、煙りが立ち篭めた。
「ふふふふ…残念だが私は下だよ。私みたいな熟練したチャオだと分身も変わるのだよ。」
「おいフェニク、そろそろ加勢するか!?」
フェニクは動ぜず立ち尽くしている。
フォスはどうやらミヒューの足を掴み地面にうめた。
ミヒューはもがいているがどうやらとれないらしい。
「止めだ!フォスラッシュ!」
ミヒューは身動き出来ないままナイフを連続で突かれた。
フォスは攻撃を止めるとミヒューは地面に倒れる。
「フェニク!もう我慢ならねぇぜ!俺は行く。」
「少し待て。あいつがそう簡単にやられるはずが無い。」
ミヒューは倒れてフォスの勝ちだと皆が思ったが甘かった。
ミヒューはだんだん変色して水となり消えた。
「黙ってみてリャ、その程度ナノサ?」
「何?何処にいる?卑怯だぞ!」
お前には言われたく無いがミヒューの姿は全く見えなかった。
フォスは周囲を見回すがどこにも姿は無い。
「とどめナノサ…カオスボルト…。」
「くっ、見えないままか?」
フォスの体に電撃が迸る。
フォスの悲鳴が鳴り響く。観客は唖然とした顔でスタジアムを見ている。
「そろそろ出てこい。遊びは終わりだ。」
「はいはい。分ってるノサ。」
するとスタジアム中央の地面が形を変えチャオの形に変わった。
砂が飛び散り中からミヒューが出てきた。
「あー、アンタ達、何もしてないでショ?」
「お前が勝手に潰したんだろ?審判…判定。」
「あ、…えー一回戦目、勝者…チームフェニク!」
歓声がスタジアムに響き渡る。
ユーロ達は青ざめた表情で見ていた。チビッチャは寝てるが…。
「これが…格の差か…恐ろしいな。」
「ええ、次は私達よ…行くわよ、チビッチャ!」
チビッチャをおこして控え室へ向かった。
希望と不安の両方を抱えながら…
続く