第一話 ~旅の行方~

FTURE 一話 ~旅の行方~

  ~旅の行方~

*街の外の草原*

ここは、街を出て数キロ程度にある、巨大な草原である。
ここらには誰もすんでなく、昔は遊び場にしていたものもいた。

「旅に出ると決めたはいいけどヨォ、どうすんだいったい?」

そうなのだ、旅に出るとは決めたが何をするのかは決まっていない。
もっと計画的に実行してほしい。

「とりあえず…いろんな街を回って情報収集だね。」
「どこの街?」
「……地図持ってくればよかった。」

こんな感じで適当に旅を始めてしまっている。
彼等は他の街がある事は知っているが、見た事はない。
だからいまいち確かな情報は皆無と言ってよい。

「そうだ、あそこのチャオに聞いてみよう。」

指差した先にチャオの集団が5匹程。
4匹のチャオが1匹のヒ−ロ−チャオを台座の上にのせ運んでいる。
最近では偉いチャオも増えて勝ち組、負け組が決まってしまっている。
このチャオもどうやら、偉いチャオのようだ。

「そうだね。聞いてみよう。」

ユ−ロは了承を取ると、非常に大きな声で叫んだ。

「おい!お前ら!。」
「誰かいますぞ。」

そう囁くとヒーローチャオはバっと飛び上がる。
そして、ユ−ロの前に飛び下りた。

「やいやい、何だお前らっちゃ。無礼だぞ。」
「知るか。それより…ここから一番近い街を教えろ。教えないと殺す(ぉ」
「フン、やだっちゃ。第一誰だお前?」

ずいぶんと生意気な口調である。
偉いチャオらしい風格だから仕方ないのかも知れない。
ユーロの態度も負けじとでかい。

「俺はユーロ。由来は金の単位。これはチャロで仲間っぽい。」
「こ、これぇ?…っぽい?」

がつんという鈍い音と共にユーロがうずくまる。
言わぬが仏である。
追記だが、ユ−ロの由来は金ではない。

「今困っててね、早く知りたいんだよ。だから教えてくれない?」
「無理っちゃ。そこの金が消えないとダメっちゃ。」

この意地っ張りめ(蹴殴
しかし、金と呼ぶのは名誉毀損に値する(ぉ
みんなユ−ロを見る。チャロは噴き出す。

「いてぇ……。なに金がどうした?」
「ま、そう言う事だっちゃ。おさらばっちゃ。」

彼は台座に乗って命令を出す。
すると風が吹き、ユーロのリュックから、手袋が落ちた。
愛用の召喚手袋「コールグローブ」である。
素早く気付いたユ−ロが拾おうとする。

「…お前召喚師だっちゃ?」
「何だ?そんなに召喚師が珍しいか?」

彼はいきなり背中につけた剣を引きユ−ロに向けた。
その剣は緑色に輝き宝石のようである。

「面白いっちゃ。一度手合わせ願うっちゃ。」
「はぁ?面白いとかそう言う問題じゃ……。」

がつんともう一発。無論ユーロは気絶寸前(ぇ
チャロはユーロの耳に囁いた。よろめきながら起き上がり、言った。

「…勝ったら場所教えろだって。」
「う~ん、よし、乗ったっちゃ。さっさと身構えるっちゃ。」

太陽の照りつけが宝剣をより一掃と、輝かせる。
手袋を装着すると、小さなケースからナイフを一本取り出す。
極々普通のサバイバルナイフである。

「ユーロ!負けたらもう一発ね♪」
「もう一発受けたら病院行きだな…。ん?そういえば名前聞いてねェな。」
「そうだったっちゃ。僕はチビッチャ。今は悪人退治のまっただ中だっちゃ。」

僕と言った瞬間、ユーロとチャロは噴いて、転がった。
ゆっくり起き上がり、そして同時に言う。

「ボ、僕ぅ!?」
「う、うるさいっちゃ。こういう設定なんだっちゃ。」

二人はまた噴き転がりながら笑う。
笑い涙が飛びそこら中に飛び散り、チビッチャにも当たる。
するとチビッチャの顔が小刻みに震える。

「お前ら、許さないっちゃ!」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第118号
ページ番号
2 / 9
この作品について
タイトル
FTURE
作者
忍者(まるまる)
初回掲載
週刊チャオ第117号
最終掲載
週刊チャオ第126号
連載期間
約2ヵ月5日