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今、目の前に広がるのは街、賑やかな街。
その奥には鉄の玉が半分埋まったような巨大なものがある。
パスがない・・・きっとこの鉄球がGUNの本部なのだろうが・・・
「取り合えず、パスを手に入れる方法を調べよう、カイト」
そう、そのパスがないと何も始まらない。
GUNの本部に入れない。
今のところパスがどういうものなのかすらわからない・・・
「そうだな・・・だけど・・・」
目の前にはさっきも言ったように賑やかな街がある。
『賑やかな』街だ。
・・・そう、この街の人も俺達のようにGUNの本部に入りたい人たちなのだろう。
それなのに、入れない。
「この人たちも・・・」
「バカイトにしてはよく考えたじゃないか」
「へぇへぇ、ありがとーごぜーやすエースさま」
街には家がたくさん建っていて、商店もにぎやかだ、ここいらにいると金持ちにでもなれるのだろうか?
「どうやら、ここはGUNから物資の補給がされているようだな」
そうか、それなら辻褄があうな。
ここらに来るだけの人だ、金は持ってる筈。
そうすれば店はもうかる、その金で別のものを買う、というサイクルで回ってるんだな・・・
「取り合えず、どうする?ここらへんの人にパスはどこで手に入れられますかーなんて聞いても無視されるだけだろ」
「そうだな・・・だけど物資が補給されていると仮定したらGUNの関係者がここいらに出入りしている筈だ、取り合えず、補給されているというのの裏を取ろう」
「あぁ」
とりあえず俺達はいろいろな人に聞き込みを始めた。
だが・・・・・
「誰も・・・知らない?」
「いや、知らないのはおかしい・・・どういう事だ?店員に聞いてもシラを切られる・・・何か隠しているのか?」
ザッ・・・後ろからそんな音がする。
俺達は振り返った。
そこにいたのは大柄な大人、スキンヘッドでヒゲを生やしている。
格好はスーツ、黒いスーツだ、とても高そうだ。
「お前達、ここで何をしている」
声のトーンは低い、とても怖い形相で睨んでくる。
一歩後ろに引いてしまう。
「お前達はどうやらGUNの事について調べてるようだな」
「さぁ?何のことですか?・・・ははは」
ホントに怖い状況ではこうなる。
自分もこんな笑い方をしたのは初めてだ。
「何やってるんだバカイト、ビビってるのか?」
こんな所で言う台詞じゃねええええええええええええええええ
エースは頭がいいんだか悪いんだか・・・
いや、それ以前に空気が読めないのであろう
いや、今はそんなことよりコイツは何だ?GUNに関係のある奴か?
「貴様らは何のためにココに来た?」
コレは・・・正直に言ったほうが良いのか?
それとも偽ったほうが?
「どうした?」
「僕達は貧しかったのでココに来れば食べ物がいっぱい食べれるのかなって思って来たんです」
エース!?
おま・・・何を!?
「ほう・・・そうか・・・どうやらここの辺りでGUNを探っている奴らがいるらしい、ソイツを見つけ出したら・・・」
大柄な男はゴソゴソと紙切れを取り出した。
「このGUNの施設の反対側にある大きい建物にこの人から言われたといって突き出してくれ、頼んだぞ」
そう言い残すと大柄な男はどこかに行ってしまった。
紙切れに書いてあるのは・・・『ムラカミ ソウイチロウ』とカタカナで書いてあった。
今日はこの『ムラカミ ソウイチロウ』の名前しか手に入らなかった。
この男は何者なのか?
今の時代あんないい格好をして街を歩いてる奴ココを見渡してもそうそういない。
ただ、アイツは多分GUNの関係者だ。
明日・・・明日アイツが言っていた場所、GUNの施設の裏側に行こう。
「エース・・・明日アイツが言っていた場所に行こう」
エースは「あぁ」とだけ言った。
何か考え事でもしてるのだろうか。
グゥゥ・・・
そういえば今日はまだ何も食べていなかった。
ここらへんは活気がある、パンの耳ぐらいならタダで貰えるだろう。
「エース、パン屋に行こう」
「ムラカミソウイチロウ・・・」
「エース?」
「あっ、ああ、すまない」
エースが謝るなんて・・・
珍しいこともあるもんだ。
まぁ、今はそんな事どうでもよくて、パン屋に向かうことになった。
明日はどうなる事やら・・・