4個目
やめてくれー!今の僕には美希に使うスキルが何も無いんだっ!
「・・・あ、やっぱりいい。私帰るね・・・。」
そういって、そのまま内気さを僕に見せ、そのまま帰ってしまった。よかった。このまま一緒にいたら僕は精神がイカれ、先の見当がつかない。
その光景を何匹かのチャオに見られ、色々なつぶやきを聞いていた。中で一番聞きたくなかったつぶやきこそ「わざわざ見せるか?」という物である。いいか、見せ物じゃないぞ!
そして、3時半頃だっただろうか。次のような呼び出しをされた。
「ねぇ、ちょっと校門前に来てくれない?色々話したい事とかあって。」
という光の呼び出しだった。
断る理由もない。つか、相手が相手だ。断ったらどうなるのだろう。期待を膨らませたものだが、すぐに破裂させた。
とりあえず、また校門前に行く事になったのだが、この間に色々考え事をしてみた。
まず、やはりと言うべきなのだろう。仮説は崩れた。何たって、もうチョコは貰ったからな。これで帰れたらいいのだが、帰れない。
いや、まずこの仮説は当たるはずなど無い。当たったら僕の将来は有り得ない方向になるほどである。何となく、恐ろしい。
まぁ、それは置いといてだ。光がわざわざ僕を呼び出す理由とは何だろうか。それを考えてみた。
が、すぐに諦めた。まず分かるはずが無い。いや、分かろうともしないさ。それで出た答えがとても信じ難い物しか無いのが目に見えている。
さっきの仮説が外れるんだ。そういう考えしか思いつかないんだとか、まるで、僕が知っているヤイバみたいな思考回路を働かせて、僕は校門前に到着した。
「遅い!」
遅くない。ソニックにおんぶでもさせてもらって音速で来いって言ってるのか。
「まぁ、アンタが呼び出しで見事に遅刻しなかった日って無いもんね。」
・・・無かったのかっ!僕ってどういう存在なんだろう。早く帰りたくなってきた。このままじゃとてつもなくヤバイ。僕の思考回路がおかしくなってしまう。いや、すでにおかしいのかもしれない。
そのまま、光と共に適当に歩き回っていた。そろそろ4時を過ぎる頃、公園についた。・・・何となく記憶が残ってる。小学生の頃よく来た気がする。
何となく、こういう場所に来ると何かしら話しかけるであろう。というか、そろそろ何の用か聞きたい。
「で、話って何さ?」
「あ、うん。・・・そろそろ高校生活もあと1年でしょ?このまま一緒に大学とか行こうか?」
いきなり何を言い出す。
「こうやってココにいるとさ、小学生の頃とか思い出すよね。・・・それで、聞きたい事があるんだけど。」
小学生の頃を聞きだすつもりか。いいだろう、かかってこい。その思い出という武器なら揃っている。
「変わったよね、アンタ。小5くらいまではチャオ好きだったのに。」
・・・何の事だ?別に好きだとか嫌いとかじゃないが、好きな事は好きだ。
「でさ、何で小6になってから嫌いになっちゃったの?」
・・・はて。小6か。僕の本来の実年齢は確か中1の年である。その時、すでに僕はチャオか。・・・チャオになってからとっくに1年が経っていたとは。しかし、嫌いになった覚えは無い。
「・・・どういう事?」
「今のアンタには好奇心ってのが欠けてるんじゃないかって、この頃気付き始めたんだ。」
何を言う。今は高校生だが、まだ僕は小6から抜け出し始めた中1だぞ?
「別に、そんな事無いと思うけど。」
「じゃあ聞くよ?」
よっし。ここからが勝負だ。逃げるコマンドはちゃんと用意してある。
「何であの日、チャオを追いかけなかったの?」
・・・いきなり致命傷を喰らった。オマケに麻痺というスキル付きである、逃げるが使えない。いつの日だろう、どのチャオなのだ。
「いつの話?」
「ほら、放課後、雨の日があったでしょ?」
放課後、雨の日。いつの間にか僕の思考回路は探偵ゲーム形式と変化しつつあった。
「その時にさ、裏道にチャオが2匹いたよね?」
2匹。かなり重要なキーワードなのかもしれない。現に今2人がココにいる。
「それを追っかけなかった。どうしてだか言ってみて。」
・・・追いかけなかった、か。
ココで重要な単語は、雨の日だ。何となく引っかかる物がある。更に、裏道に、チャオが2匹。それで、その2匹を追いかけなかった。
1 もう少し詳しく聞いてみようか。
2 当てずっぽうに答えてみよう。
3 素直に降参だ。
4 そんな事無かったぞ、とでも言ってみようか。
5 逃げる発動。
さて、今の僕が使える選択肢はコレだが、5は明らかにヤバい。即刻バッドエンドが待っているに違いない。
選択肢、というのは1つ選んだだけで運命が決まる。どうする?どーすんの俺!?ライ○カード!続くかぁっ!このネタを使うのは禁句だ!
・・・頭の中で整理してみよう。まず、こういう軽い感じの選択肢はもっともリスクを少なく感じる物を選ぶのが一番である。という訳で。