<14> 風斬 つづき。
「・・・・まぁ、負けは認めるけど・・・・」
体の内側が、後悔で熱くなった。
確かにあの時、Bellが着地に失敗しなければ、負けていたのは分かっている。
ただ、それ、つまり経過より結果だ。
負けてしまったということは、Liltaは、多分─
「Galeさん」
考え事をしていたせいか、何が起こったかすぐには分からなかった。
ぴとっ、と、Liltaが俺にしがみついたものだから、驚いて後ろにこけそうになりつつも、姿勢を保つ。
「あの・・・・迷惑かもしれないけれど・・・私、これ以上お姉ちゃんと一緒には居られないから・・・ついていって、いいですか?」
口をぎゅっと縛るように閉じて、まっすぐ俺の目を見つめた。
BellはLiltaを見ようともしないし、Liltaもそれにいちいち反応しようともしない。
Bellはまだ分かりやすい。でも、Liltaが何を思ってこんなことを言っているのかは、俺にはさっぱりだ。
「Bellと一緒に居られないって、どう言う事だよ」
戸惑ったように、やっとLiltaはBellを振り返った。
Bellの方は、身動き一つしないまま、冷たい視線でそれに応じる。
「えっと・・・また後で、詳しいことは話します」
これでいいのだろうか、というように、Liltaには明らかに困惑の表情が見えていた。
どうやら、Bellの前で話すとまずいことがあるらしい。
しかし、Bellに冷たくあしらわれても、特に気にしたそぶりは見せない。
「・・・連れて行ってくれたら、お姉ちゃんが教えなくても、私からレース事務所については情報を渡しますよ」
何も言わない俺(と、Bellも意識してかもしれないが)にとうとう最終手段で挑んだか、コレで勝ち、と、鋭くも丸い瞳が言っている。
こんな幼いチャオが「取引する」ということを実行したことに、内心驚きながらも苦笑した。
それと同時に、色々こういう技を使っていかないと前へ進めないという彼女のこれまでのことも、容易に想像できる。
「いいよ、お前がいいのなら。 ─悪ィな、Bell」