<5> つづき。
「ふん─やっぱり、倉庫荒らしはお前だったか」
「─隣の部屋の後輩には口封じしといたんだけどなぁ─無駄だったね」
そういってTrackはFliaの逃げていったと思われる方向へ、目を向けた。
ここよりもっと暗い、光の入らない路地のほうを。
「─もうそろそろ行かないとね─」
「すぐに追いかけりゃ、Fliaにも追いついただろうよ─俺にかまってる場合じゃなかったんじゃねーの?」
「別にいいさ。すぐに追いかけちゃ、すぐに追いついちゃう─彼女とハンデ無しで鬼ごっこなんかしても、楽しくないよ─あーあ、あれほんとにチャクロンの孫娘なのかなぁ?」
「─お前、どこまでFliaを馬鹿にする気か─!」
それと同時に、Trackはその路地へ駆け出した。
俺も、ぴったり後を追う。
何のためかも良く分からないまま、力任せに、感情任せに─