2話

校門へと急いでいた俺は、向かう途中またも銃声を耳にした。
発砲数はおそらく三発。
俺は不安感に駆られながらも、行くしかなかった。
戻ったところで行き着く先は・・・

校門にはもう奴の姿は見られなく、警官が持つような拳銃が転がってあるだけだった。
最後に視線を放す時まで銃口からは細い煙が立ち上っていた。


ESCAPE!TRIVIAL ROUND      
2話目 


・・・っと。
ここまでが今までの大まかな流れだ。
道はただ自らの足の向く方に・・・
いわゆる運任せだ。
こんな状況でろくな考えも無しにただ運で物事をきめてる自分が不安でたまらない。
でも止まる訳にもいかない。
何より、弁論ができないのだ。
黒い変身できる化け物が俺の姿になって先生を殺したなんて・・・
言えるわけ・・・ねぇだろ・・・・

そこの君!」
声をかけてきたのは警察官。
場所は道路脇に止めてあったパトカーの窓ごしからだ。
「こんな時間に何をうろついてるんだい? 学校はどうした?」
「あ・・のぉ・・・その・・・」
警官に目を合わす事ができなかった。
視線をアスファルトに向け、適当な言い訳を考えた。
「ち・・ちょっと・・・忘れもんでさ!」

これで上手くいってくれ!と心の中でそう祈りつつ、その場を去ろうとする。
が警察は俺の手をつかむ、納得がいかなかったらしい。


「お前が教員を殺して逃走している事はもう警察には伝わってるんだよ!」
ガチャ。
手錠で俺の両手が封じられた。
車両内からは無線で交信をとっていた。
「緊急連絡。先程の殺人事件の犯人を確保。ただちに身柄をH署に・・・」

 終わった・・・やっぱ世の中こんな上手くいくはずが・・・ねぇか。

背中を押されつつ、パトカーの中へと入ろうとする。
その時だった。
「な・・・何だ!?」

異変に気づいたのは無線を使っていた方だった。
「後ろに変なのが!」

横にいた警察官は、俺のことなんて忘れてた
後ろの者が人間でないあの「黒い奴」に気づくや、あわてて拳銃を取り出そうとする。
遅かった。
決して拳銃を構えるのがではない。
奴がただの生き物ではない事に、拳銃ごときでは死なない事に。

跳ね返った銃弾が逆に警察官の頭に被弾し、死亡。
あわててもうひとりの警官がパトカーから出てきたが、
「ば・・・化け物ぉ!!」
黒い奴から伸びてきた触手がもう一人の頭を貫いた。

おそらく二人共、即死だろう。
そう悟ったのか、次は標的を俺に変えてきた。
触手のようなものを何本も伸ばしてくる。
そのうちの一本が手錠の鎖に当たり、砕け散った。

「なんて力だよ!」

手が自由に使えるようになったが、危機的状況には変わりなかった。
目があるのかわからないが、確実に俺のことをみているだろう。

       来るか・・・

しかし予想していた展開とは異なり、奴は俺との距離を開けていった。
そして、奴はマンホールのスキマから地下へと流れていった。
「ちょ・・・地下かよ!」
マンホールの蓋はピッタリと閉まっていて開く事はおろか、動く事はなかった。

「重いな・・・マンホールの事なめてたよ・・・」

とはいえここであきらめたら手がかりが完全に無くなる。
何度も小さな穴に指を入れて、持ち上げるが結果が最初と変わることはなかった。

「無理か。となると・・・!!」

遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
あまり車が通らない道とはいえ、ここは車道が通っている。
それに無線で位置を伝えられてる可能性もある。
どっちにせよ警察が来る可能性は高い。

もう道筋は決まっていた。
いつもなら通る事のない裏路地へと足を向けていた。





TO BE NEXT...

このページについて
掲載号
週刊チャオ第278号
ページ番号
2 / 3
この作品について
タイトル
ESCAPE!TRIVIAL ROUND
作者
銅の字(苫)
初回掲載
週刊チャオ第276号
最終掲載
週刊チャオ第280号
連載期間
約29日