3話
裏路地は今まで通っていた道と変わって、薄暗くゴミも散乱していた。
さすがに真っ昼間だったため人は少ない。
いるとすればゴミを漁っている人々が一人…二人くらい。
今の俺はやけに周りが見えている。
壁にはっている怪しげなポスターの一文字、
ゴミの種類までがしっかりと頭に記憶されていく。
時々後ろを振り返りつつ、ポケットからケータイを取り出した。
新着メールが数十件、この十数分の間にだ。
まぁ、内容は見るまでもないだろう。
――今の情報が知りたい。
ケータイのテレビを見ようとして足を止め、指をささっと動かす。
しかし電波が悪く、思うように繋がらなかった。
ケータイの位置をしきりに変え、何とか繋げようとするが、その動きをふと止める。
「そういえば…GPS機能がどうとかで今の位置って調べられるかもな…」
とりあえず電源を切っておく事に方針を変えた。
こっから先どうするものか・・・
自宅はおろか友人の家や親戚のところにお世話になるわけにはいかない。
すぐさま警察にお世話になってしまう。
しかも最悪昼までには全国のお茶の間に向けて俺のことが放送される。
今の状況でかくまってもらう所は俺の知る限り0。
「絶望的だな…これは…」
ため息の代わりに出てきた。
とにかく今のは重い一言だったなぁ…と他人事みたいに考える。
このまま現実逃避でもしたほうが精神的に楽になれるや
しかし現実はそう簡単に逃がしてくれなかった。
「容疑者が逃げたぞ!」
後ろからは少々小太りの警官が必死に追いかけてきていた。
気づかれないようにと工夫していたらしいが、10mもの間隔が開いた状態なら逃げ切る自信がある。
予想通り 警官の姿が小さくなっていく。
「そっちに行ったぞ!」
この言葉で相手の策略に気がついた。
挟み撃ち。
前からも一人警官がやってきていた。
裏路地の狭い道なのでこれはかなりの効果があった。
現にさっきまでうごいていた足がピタリと止まって動かなくなった。
周りを見渡して方法を考える、が名案が思い浮かばない。
こうしている間も、挟み撃ち役の二人はどんどん迫ってきている。
―どうすれば…