ESCAPE!TRIVIAL ROUND
あの日・・・何がおきたのだろう?
いつもと同じ校舎。
同じ面々のクラスメイト。教師達。
俺の平凡な日常はそれまで何も欠ける事なく存在していた。
・・・・・そう。
一発の銃声が鳴り響くまでは。
ESCAPE!TRIVIAL ROUND
俺の名前は・・・太田 一樹。
私立高校に通っている高校一年。
中学から高校、大学とエスカレーター式の学校に通ってる事と運動神経だけがとりえだ。
二ヶ月少し前に高校に上がったとはいえ、面子も校舎も変わらず実感が湧かない高校生活がスタート・・・
ここまでは何の問題も無い。
ここから先が考えても理解しがたい。
あの日、俺は少ない休み時間の内に遅れたノートを出そうと職員室へと向かっていた。
一階から二階への階段を二段飛ばし、三段飛ばしと少し急いで。
階段さえ上ればもう職員室の扉が視界の片隅に入る。
木製の扉にはご丁寧に「ノックをしてから 開け閉めは静かに」
と張り紙までつけられていた。
さて、用事はさっさと済ませようとドアノブに手を伸ばしたその時
「!」
扉の向こうから短い轟音が鳴った。
それと同時に勢いよく職員室の扉が開けられる。
そしてその勢いにのって猛スピードで俺の横を駆けて行ったのは・・・
俺だった。
いや、飛び出ていったのは俺じゃない。
俺・・・太田 一樹の姿をしていた奴は職員室から走り去り、曲がり角に差し掛かった時黒い液体のようになって消えたのが目に入った。
「なんだよ!?あれは!!」
突然の出来事に呆気をとられた俺は、職員室の扉に視線を戻した。
その瞬間、またも俺にとって信じられない出来事が飛び込んできた。
死体。
足元に銃で頭をぶち抜かれた遺体が転がっていた。
周囲を真っ赤な血で汚し、惨劇を物語っている。
それだけでも俺には衝撃的なのにその死体は俺の現「担任」だった。
「一樹! お前何をした!」
ごつい体格の体育教師が俺の片腕を掴んだ。
そして掴まれると同時に、瞬時に理解する。
逃げろ・・・じゃないと・・・・
死ぬ。
一瞬の隙を突いて俺は掴んだ手を振り払い、走り出した。
―逃げ道は、適当でいい!!
ただ撒ければいいという考えを第一に走った。
しかしそんな考えをしたことをすぐに後悔した。
渡り廊下。
前からは教師が三人。
後ろをふりかえると必死になって追いかけてきた教師達
―やばい・・・逃げ道は無いか?
前からやってきた事情を知らなかった三人も事態がおかしい事に気づいた。そのことに俺が絡んでいる事も。
―逃げ道は・・・ これだ!
俺の目に止まったのは外の世界とガラス一枚で隔てている窓だった。
それを力一杯横に開けてそこから俺は思いっきり外へと飛び出した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
地面に着地するや足に猛烈なしびれが伝わった が
捕まる事を考えればたいした事ではなかった。
「少し走りにくいが我慢するしかないか・・・」
そうつぶやいて校門へと向かった。
TO BE NEXT...