~ウサギと亀とフォスの巻~ 1

またまた平和なチャオガーデン。
前回の事件も静まり返り平和な世界に戻った頃…。
またしても秩序を乱すチャオが来た。

「やぁーやぁー諸君。私は見事生還して戻ったぞ。」

丁度、木のみを食べていたエルノが声を聞いた瞬間ふいた音がした。
そう、まぎれもない本人、フォスが帰って来たのである。
隣にはティムが包帯を巻いてよろめき歩いている。

「ふぅ…、どうにか俺も退院できたぜ…。」
「エルノさん、とうとう戻りましたわ…混沌を呼ぶチャオが…。」
「はい。また悪夢が続くと思うとゾッとしますね。」

ガーデンの中みんながため息や頭を抱え込んだりしている。
今のガーデンは最悪を裕にこえた状態である。

「なんだみんな?夏バテか?もっと栄養を取りたまえ。あと元気で過ごしたまえ。」
「ある意味夏バテですね。夏ダウン症とでも言いましょうか?夏うつですかね?」
「この際、頼みますわ…フォスさん?あなたは今日1日でもいいので静かにしていただけないでしょうか?」

ダメ出しで頼んでみたが矢張り無理だった。
彼の辞書には静かに過ごすなどというものは無いのである。
彼はムシするようにある本を取り出した。

「これがなんだか分かるかね?有名な童話なんだが…。」
「俺知ってるぜ、それ兎と亀だろ?病院で読んだぜ。」
「そう、私はこの本を読んで非常に感動した。…ということでこれを実際に再現したいと思う。行う場所はキノコの森だ。」

エルノはどんな海よりも深くどんなドラマでも見られない悲しいため息を大きくついた。
レノンも呆れたようにため息を深くついた。
またガーデンは最悪の状態に陥った。

「生憎ですが私は抜けさせて…、」
「問題ないぞ、エルノ君。私の手にかかればこんな物チョチョイのチョイだ。集合時間は明日の9時、練習開始だ。」
「エルノさん、無駄なことはやめておきましょう。被害を極小におさめるのが先決ですわ。」

そういって皆解散した。明日起こる悪夢の恐怖を胸に刻みながら…。
翌日、9時にはみんな集まったのだがフォスだけが遅れている。

「珍しいですわね。彼が遅刻するなんて…。」
「恐らく物凄い物運んでますよ、きっと。」
「ん?あれ…何だ?飛行機?珍しいな。」

抑、チャオガーデンに飛行機が通るのだろうか?
それはおいておき、勿論中に入っていたのはいくつかのセットだった。
フォスが降りてくると道具をおろす。

「これが兎と亀の大道具だ。…そうだ、役を言い忘れていた。諸君、来たまえ。」
「俺は兎だな。やっぱり走りが早くないとな。」
「私は亀は嫌ですわ。のろのろとやってられませんもの…。」

嫌な視線がエルノに注がれた。それに気付いたエルノはすかさず目をそらす。
しかし目線を追うようにフォスが視線を注いでくる。

「ふふふ…安心したまえ。エルノ君は亀じゃ無いぞ。後でとっておきの役を用意させてもらった。」
「もしかしたら亀のほうが良かったかもしれませんね。どうなることやら。」

場所を移しキノコの森にやってきた。理由あって短いステージとなってしまった。
本物により近くするためティムは兎の耳をつけフォスが亀役となりこうらをつけた。
妙な形をしたこうらで非常に気味が悪い。

「普通に走ればいいんだな?速効で終わるぜ?」
「思いっきり走ってくれたまえ。ま、亀が勝つことは決定的だがな。」
「へ、童話なんか話を変えちゃえば俺の勝ちだぜ!」

ティムが一歩踏み出す。いいスタートダッシュだったが駄目だった。
まぁ予想は出来たが見事トラップにはまってしまった。
いきなり深い落とし穴に落ちてしまった。エルノ達は中を見てみるが深すぎて何も見えない。

「大丈夫ですか?早く上がった方がいいですよ?」
「………ウオォォォォォォォォ!」
「上がってきましたね。フォスさんの事ですからこの程度じゃすみませんよ?覚悟してください?」

息切れしながらもまだスタートから何メートルも離れていないフォスを睨み付けた。
フォスは嫌味な笑顔を浮かべながらリモコンを取り出した。
その中のスイッチを一つ押したとたんこうらが変型してプロペラが出てきた。

「お前、亀は遅く無いと駄目だろ!?落ちろよ!」
「しょうがないな。あと10分待ってやろう。10分でゴールできるかな?」
「余裕だな、もう罠にはかかる気はねぇ!俺の勝ちだ!」

フォスはまたリモコンを取り出しスイッチを3つ押した。
途中の地面から槍が出てきてすすめない状態になった。しかしティムは突き進んでいく。
さらに奥へ進むと何も無い平原の先にゴールが見えた。

「ほう、もう中盤まで進んだか。だが童話じゃ君は負けなのだよ。」
「エルノさん、私達は何をするんでしょうかね?」
「実はこっちで一つ作戦を考えたんです。私達はこのまま逃げて彼等で責任を負ってもらうと…。」

それに気付いたフォスはエルノ達を牢屋に入れた。
そこには白い名刺のようなカードがあった。

MISSION:君たちはティム君のサポートをしてくれたまえ。
     これからはもっと厳しくなるのだ

このページについて
掲載号
週刊チャオ第124号
ページ番号
4 / 5
この作品について
タイトル
え・ぇりぃでぃちゃおず
作者
忍者(まるまる)
初回掲載
週刊チャオ第123号
最終掲載
週刊チャオ第124号
連載期間
約8日