その3 カラアゲサイドとジャストな字数制限

少年はにやにやしています。
「そんなわけだからむしろ、僕よりロッカクのほうが心配だなあ、なあ、カラアゲ?」
少年に便乗するカラアゲ。
「ヒヒヒ、そうちゃおね。ロッカク、この際ダイエットをしてみないちゃおか?
 ん?ダイエットは明日までにはきついちゃおか。それなら、魔術で好感度アップ?」
「カラアゲ、この世界のどこに、魔術学校があるって言うちゃお・・・」


「ま、それはそれでともかくとして・・・」
少年は話題の方向を修正しつつ、
「相手のチャオって、誰?」
もっともな疑問をぶつけます。

「うーん」
悩むカラアゲ。
「ロッカクの校内のチャオ間での評価はどんなちゃお?」
「実は校内でコドモチャオはロッカクぐらいなものだから、これといって親しくしている様子もないし」
「少年の奇行に付き合っているだけで、精一杯ってとこちゃおね」
「なるほど−、よくわかたちゃお。」
「僕の個人的な知り合いはいるけど、違うだろうしなあ」
「うーん、こっちはシロちゃおか・・・」

悩むカラアゲに、ロッカクが囁きます。
「ちょっとちょっと、もっと『ロッカクに気がありそうな』とかいう質問はしないちゃおか!?」
「えー、それはないちゃおよ、ねぇ。少年。」
「同感。ロッカクはねぇ」
「一人ぐらいいたって、罰は当たらないと思うちゃおけど・・・」
「ないない」

「大体気になるチャオがいたら、ロッカク宛にも下駄箱レターが来ないとおかしいちゃお!」
「そ、それはそうちゃおね・・・」
カラアゲの指摘に、思わず納得してしまうロッカク。

「今考えるなら、相手の連れてくるであろうチャオを口説き落とす方法ちゃお!」
「なるほど!そのとおりかも!!」
「映画のクライマックスにこういうちゃお
 『たとえグラールまで飛ばされても、おまえのことは、わすれない』」
「ぐらーる、ぐらーる・・・わかったちゃお!試してみるちゃお!」

こうしてよくわからない予定が作られつつ、夜はふけていきます・・・








そして翌日、運命の土曜日。
少年とロッカクは元気に映画館へと出発していきました。
二人を見送ったカラアゲは、一人準備を始めます。

ごそごそと取り出したそれは、そう。映画の一人無料券。
先日カジノポリス前でもらいました。
おとといにカラアゲが「今度は映画見に行けるちゃおか。」といったのは、これが理由だったのです。

「サスガのカラアゲ、チャオってメチャメチャ運がいいちゃお~」
無料券を見つめ、ニヤリと笑うカラアゲ。
「少年を映画に誘う物好きがどんなヤツか、この目におさめるてやるちゃお!」





少年とロッカクが映画館前に着いてきょろきょろと辺りを見回していると、
ヒザカックン
背後から唐突にヒザカックンを受け、よろける少年。

「おはよ~」
振り向けば彼女がいました。
「さっきのヒザカックンは、何!?」
「あ、ちょっとやってみたかっただけ。」
「はぁ?」
彼女の言動は、少年の理解の範疇を超えているようです。

彼女が見えたにもかかわらず、まだ辺りを見回しているのがロッカク。
「お連れのチャオは、どこちゃお~?」
「連れのチャオって?」
頭上に疑問符の彼女に、少年が答えます。
「ペア券だったから、そっちもチャオをつれてくるのかと思ったんだ。」
「そのことか~」

そういって彼女は自分の映画のチケットを取り出しました。
「ペア券だったから、誰かに一緒に来てくれるように頼もうかとも思ってたんだけど、
 おとといカジノポリス前を通りかかったときに、一人用のタダ券配ってたから、それ使うことにしたんだよね。」

その言葉に、激しくショックを受けるロッカク。
「そ、そんな・・・」
「あれ、どうかした?」

彼女の疑問に答える少年
「実は昨日の夜、ロッカクが期待・・・」
と言いかけたそのとき、
「!! それは言っちゃダメちゃお!!」
ロッカクの妨害攻撃回し蹴り!

少年は蹴られた足を押さえつつ、文句を言います。
「ロッカク、お前、他人のことはぺらぺらしゃべったくせに・・・」
「あれはカラアゲにだったちゃお! こんな公衆の面前でしゃべるのはルール違反ちゃお!」
こんな会話を、笑って聞いている彼女を指して、少年は続けます。

「公衆の面前というが、聞いているのは彼女ぐらいじゃないか」
「いや! SSのどこかに、地獄耳はきっといるちゃお! 可能性を考慮しろちゃお!」
「ありもしない可能性を考慮してどうしろと」
「なにお~!!」

二人のけんかが勃発しそうになったそのとき、
「・・・あ、そろそろ時間みたい。」
彼女の一言で、二人は我に返りました。

少年は、ロッカクに人差し指を向けて静かに言い放ちます。
「とりあえず、ここは休戦だ。」
「のぞむところちゃお。」
大きくうなずくロッカク。

こうして、映画館に入っていく二人と一匹。

そのはるか後ろの建物の影で、その様子をじっと見ていたチャオがいました。
カラアゲです。
忍び足で映画館に向かっていきます・・・

いったい、何を企んでいるのやら・・・

(truncated)

このページについて
掲載号
週刊チャオ第256号
ページ番号
3 / 5
この作品について
タイトル
遠足・贈り物
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第256号