その17 予期せぬ事態と万単位の輪
コロニー外側、エクリプスキャノンが突き出していた場所。
今そこにあるのは、寄生した究極生命体プロトタイプです。
宇宙空間に飛び出したスーパーソニック。
攻撃をはじかれつつも何とかシャドウの言う弱点へ飛び込みました。
「シャドウ!リングを集める。その間お前が戦ってくれ。頼んだぞ!」
続いての攻撃は、シャドウ!
シャドウがプロトタイプの向かいから、次々とカオススピアを放っていきます。
そのとき届く、ソニックからの声
「シャドウ!しまった!」
「どうした?」
「宇宙空間には、リングがない!!!」
「カオスコントロールは!?」
「カオスエメラルドが手元にないからか、できないらしい」
「なに~!!?」
こちらは、少年とカラアゲのいる、砲身付近のトラック。
「カオスコントローーーールっ」
「カオスコントロォオオルっ!」
・・・・・いまだ、カオスコントロールに挑戦していました。
ピピッ
そのとき、何か通信機に連絡が。
「エッグマンじゃ!
今、外ではソニックとシャドウが協力して闘っとる。
そのスーパー化を維持するのにリングが必要じゃ!
今ワシらは、地上との通信で手が放せん。だからお前ら二人で何とかしてくれ!
頼んだぞ!!」
通信機を手に取る少年。
カラアゲのほうを見て、聞きます。
「リングを集めるんだとさ。何かいい方法はないか、カラアゲ?」
カラアゲは不満げな顔で答えます。
「うーん、いまちょっと、カオスコントロールの特訓で…」
「それは後回しだ!今すぐリングを集める方法を思いつけ!!」
「思いつけって命令形で言われても、…あ、思いついたちゃお!」
「なんだよ、やればできるじゃないか。どんな方法なんだ?」
「ちょっと耳を貸すちゃお・・・ごにょごにょ」
「なるほど、それなら万単位でリングが集められそうだ。よし、早速実行しよう」
かくして、たった二人による万単位のリング稼ぎ計画がスタートした
・・・ってなんなんだこの展開はぁっ!?
少年がロケットを掴み飛び出した先の眼下には、
めくるめくグラインドレール並ぶ、生気を絶するコースが待ち受けております。
偶然にも、中央にあったレールに飛び乗る少年。
その背には、カラアゲが蒼々たる面持ちでくっついております。
レールを滑り降りた少年はまたもやの偶然で、ひとつの足場に着地。
そこからまた、次のレールに乗り換えて、さらに下へと滑り降りていきます。
そうして、幾多ものレールを乗り換えることしばらくしてたどり着いた青いコンテナを壊し、
中から出てきた鍵を持ったカラアゲは、さらに下へと連なるレールのさらにさらにその先の、ゴールリングへと飛び降りていきました。
こういうときは、軽くて羽がついたチャオのほうが便利ですね。
そして偶然の偶然に偶然が重なって(偶然の三乗!)カラアゲはゴールリングへと飛び込めました。
途端に周りの風景が移り変わり、現れたのはチャオロビー。
カラアゲは早速、ヒーローガーデンへと駆けていきます。
ヒーローガーデンにたどり着いたカラアゲは、真っ先に近くのお友達たちに声をかけていきます。
「みんなで強盗ごっこするちゃお!」
興味を持ったお友達たちが、ほかのガーデンからもぞろぞろと集まってきます。
その数、ざっと二十名。
その中心に立ったカラアゲは張り切って、次のように話し始めました。
「これから、強盗ごっこをはじめるちゃお。
まず、チャオ幼稚園の闇の取引所に行くちゃお。
次に、そこのオヤジからリングを奪い取るちゃお。
やつはいつもソニックからリングをぼったくっているから、きっと相当なリングマニアのはずちゃお。
こうして大金持ちになったチャオたちは、いつまでも末永く幸せに暮らすちゃお。」
集まった二十名の中から
「おおー。」とか
「いいちゃおねー。」とか
「ひゅーひゅー」といった歓声が上がります。
「じゃ、ついてくるちゃお。」
カラアゲ率いる強盗軍団は、そのまま闇の取引所へと歩いていきました。
そして、闇の取引所。
暇をつぶしていた店主は、中に入ってきた客を見てぎょっとします。
なぜならそこには、覆面をかぶって銀行強盗に扮した、総勢二十名あまりのチャオたちがいたのですから。
一番正面に立った白チャオが、なにやらピンク色をした箱を構えて、言います。
「今すぐこの箱の中に十万リング用意しろちゃお」
それを聞いた店主は、傍らから旧式の黒電話を取り出し、ピポパポパピピと電話をかけ始めます。
「あっ、もしもし警察ですか?あのですねえ・・・」
しかし店主は、それ以上電話をかけ続けることができませんでした。
近くのオニチャオが、ぷつんと電話線を手で引きちぎったのです。
さっきの白チャオが喋ります。
「キサマ、警察なんか呼んだって無駄ちゃお!これを食らえちゃお!」
そういうと白チャオは、手に持ったピンク色の小箱のスイッチをぽちっと押しました。
箱から飛び出すオバケのおもちゃ・・・・・
「ぐあっ」
店主はびっくりして気絶してしまいました。
その瞬間、背後の二十名がすささと動き、店内に乗り込んでリングを掻き集めます。
「よし!作戦成功ちゃお!」
そして去っていく強盗軍団。
その様子を半漁人だけが、じろっとした目で見ていました。