その14 ようやくの新展開と遠足男の機知

「話は、すべて、聞いた!!!」
アーク中央制御室に一人、仁王立ちし、シャッキーンッっとポーズを決める少年。

「この少年、遠足の名に賭けて、必ず、アークを止めてみせる!!!」
残念ながら、アークを止めるのはエッグマンやソニックたちです。

「いや、だからその、ソニックたちを手伝えばいいんだろ?」
少年の辞書には、足手まといという言葉は載ってないのでしょうか?

「いまこそ、この世界に、我が少年の名をとどろかせるときだ!!! ナーッハッハッハ!」
何も聞こえてない様子の少年。

「よってこれから研究所跡地へ行かなければならない。ではさらば!!」
何がよってなのかよくわかりませんが、言い残し、制御室から勢いよく出て行く少年―――




で、アーク研究所跡地

「みんなー!きいてくれー!!」
にぎやかな音を立てて、少年が駆け込んできました。

「ん?」
全員の顔がいぶかしげになります。
ついさっきエッグマンが「作戦スタートじゃ!」と叫んで盛り上がっていたところなのに、
なんのつもりでこの少年は、水をさすというのでしょう?

「話は中央制御室ですべて聞かせてもらった!
 そこで提案があるんだが、みんながそこのロッカク君をタスキみたいにパスしながら、
 アーク中央に向かっていくというのはどうだろう?」

「それで何の得があるというちゃおか!?」
ロッカクがビクビクしながら少年に問います。

「ロッカクの羽の裏にセロテープで止められた機械には、GPSと音声による通信装置が取り付けられている。
 だからその装置を使えば無線から各自に指示が出せるだろ?」

うなずくエッグマン。

「ロッカクを連れて行けば、エッグマンが行き先なんかを正確にオペレートできるじゃないか!!」

ポヨがビックリマークになるカラアゲ。
「なるほど!!!
 おまえただの遠足好きかと思っていたら、惚れ惚れするほど、頭がいいちゃおね!!」

一方でまだおどおどした調子のロッカク。
「べ、別に機械だけ持って行けばいいと思うちゃお・・・・・」

「いや、そのアイデアには、ワシも賛成じゃ。」
エッグマンが横から出てきます。
「こう見えて、なかなか役に立つヤツじゃぞ。
 ルージュの正体を教えてくれたのが、ロッカクじゃった。」

驚いてロッカクを指差すルージュ。
「アンタ、アタシの正体知ってたの!?
 ま、いいわ。どうせもう済んだことだし。」

「あ、それなら僕も、知ってたよ」
余計なことを言う少年。

「よし、じゃあテイルスはロッカクと共に、第一隔壁へ向かってくれ。
 他に言うことはないな?
 では、今度こそ、作戦スタートじゃ!!」






・・・・・

「さて、五人とロッカクはすでにアークのコアへと向かっている。
 ここからが本番だカラアゲ。」
「ちゃお?」
「いいか?キャノン砲口付近には、まだシャドウがいるはずだ。
 彼を連れて帰るんだ。」
「なんのためにちゃお?」

「ルージュとシャドウが部屋に入ってきたとき見たんだ。
 プロジェクト・シャドウ――ここアークで研究されていた、不老不死の研究のことなんだが。
 その途中経過報告書に写された、シャドウのプロトタイプの姿を・・・トカゲのような・・・・・」
「・・・トカゲ?」

「あの白衣のジイさん、ジェラルド・ロボトニックが言ってただろ。
 「オリジナルのデータを元に、遂にシャドウを完成させた」って。
 おそらくそのオリジナルってのが、そのトカゲみたいなやつのことなんだろう。
 ルージュが去った後、アークのコンピュータでいろいろ調べておいたんだ。
 オリジナルは、研究者も予期していなかったほど、パワーを増大させ、
 アークの運転にさえ支障をきたすほどになったらしい。
 そこで、GUNがアークに攻め込んだ。」

「・・・目的はおそらくプロジェクトの抹消・・・ちゃおね・・・」

「そう。それに加えて、ジェラルドを責任者として拘束すること。
 結局コロニーの最深部でオリジナルを封印し、プロジェクト・シャドウは抹消されたらしい。」

「・・・コロニーの最深部・・・ちゃお?」

「カオスエメラルドはなぜコロニー最深部へと移動したか?
 カオスエメラルドをそう簡単には奪い取らせないため、オリジナルの方向へわざと導いた可能性が考えられる。
 ソニックたちがこのまま順調に最深部へとたどり着いた場合、オリジナルの封印が・・・・」
「・・・解かれるちゃおね?」

「・・・そゆこと。
 残念ながらコンピュータでは、これ以上の情報はつかめなかった。
 予想をはるかに超えるパワーを持った、不死身の生命体が、いったいどうすれば倒せるというのか?
 それを知っているのは、オリジナルのデータを元に誕生した、シャドウ以外にはありえないのさ!!」

「おおー。それで、シャドウは今どこにいるちゃおか?」
「ソニックに聞いた話によると、キャノンの砲口へ向かうトラックの近くにいるらしい。」
「おおおー。それで、どうやって行くちゃおか?」
「ふっふっふ、驚かないでくれたまえ。ちゃんと考えられているのさ。」

そういって少年が取り出したのは・・・・・

このページについて
掲載号
週刊チャオ第237号
ページ番号
15 / 20
この作品について
タイトル
遠足大作戦
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第232号
最終掲載
週刊チャオ第238号
連載期間
約1ヵ月12日