その12 掴んだ秘密と五十年前の機巧

スペースコロニー:中央制御室
少年がコンピュータの裏でくかーくかーと眠っているうちに、どうやらルージュが戻ってきたようです。
隠れた少年には気付いていない模様。

うっとりした口調でカオスエメラルドを眺めます。
「七つ集めれば奇跡を起こすと言われる伝説の宝石、カオスエメラルド・・・
 そのうち六つが今やアタシのものに・・・」

「そいつはどうかな」
突然現るシャドウ。
「シャドウ!」

「最初からそれがお目当てだったというわけか。それとも大統領の命令か?
連邦政府大統領、専属エーシェント、ルージュ・ザ・バット・・・」

「アタシのこと調べたの?プライバシーの侵害だわ」
「それはお互い様じゃないのか?」

「フン! なーんかコッチ肌色よくないし、お仕事も終わったんで、
 後は頂くもの頂いて帰ろうと思ってサ」
「フッ、とんだ食わせ者だな」

立ち上がるルージュ。
「あーら、じゃあそういうあなたはどうなのかしら?」
手には何かの紙が握られています。

「究極の生命体開発計画、プロジェクト「シャドウ」の経過報告書よ。
 もし、ここに映っているのが本物の究極生命体「シャドウ」なら
 今アタシの目の前にいるあなたは、一体何者なのかしらね?」

手の紙をシャドウに見せ付けます。
そこに映っているのは

恐竜のような姿をした、SHADOW

「・・・・・・・・」


そのとき、シャドウに無線が入ります。
「ドクターエッグマンじゃ!
 カオスエメラルドを全て手に入れたぞ!」

「シャドウ! 何者かがまっすぐエクリプスキャノンの砲身むかっとる!
 発射まで時間がない お前はそっちに向かってくれ!!」

ピッ
切れる無線。

「命が惜しければカオスエメラルドは置いていけ。
 貴様には、フェイクで十分だ。」

「アンタ、自分が本当にシャドウだって信じてるの?」
「当然だ」
「アンタのその記憶こそ、ニセモノかもしれないのよ!」

しばらく黙るシャドウ。

「・・・・・たとえボクの記憶がフェイクだとしても、僕にとってはそれが全てだ。
 ・・・・彼女の、マリアの願いを叶える。ただそれだけだ。」

中央制御室から走り、出て行くシャドウ。
それを見送った後、ルージュも部屋を後にしました。


その直後、がさごそと、這い出してくる少年。
いつの間にか、目を覚ましていたようです。

「今の話は・・・・・??」

時間を見ると、エクリプスキャノン再発射まで、残り10分をきっています。







エクリプスキャノン、砲口付近

「驚いたな。てっきりあの爆発で、宇宙のチリにでもなったと思っていた・・・」
そう吐くのは、シャドウ。

「あいにく、しぶといのが取り柄でね」
向かいでニヤリと笑うソニック。
その手には、カオスエメラルドのニセモノが握られています。

驚くシャドウ。
「それはカオスエメラルドの・・・
 まさか! そんなフェイクを使って・・・カオスコントロールを!!」
うなずくソニック。

両者は走り始めます。
「・・・どうやら似ているのは姿形だけではないらしいな。
 君は一体何者なんだ!!」

「オレはオレさ冒険好きのただのハリネズミ・・・
 ソニック・ザ・ヘッジホッグさ!」

更にスピードアップする両者。

「なるほど、だが君の存在はもはや無視できなくなった
 君の冒険ごっこは・・・ここで終わりにしてもらおう!!」









エクリプスキャノン再発射まで残り・・・40秒

「これで我が世界征服は完全なものとなる!
 さぁ! 我が理想国家 エッグマン帝国の幕開けじゃ!!」

エッグマンは、最後のカオスエメラルドを中央制御室に残った最後の穴に、はめました。

「フフフフフ、ハハハハ、
 ハァーハハハハ、ハッハッハ・・・!!」

ディスプレイに映し出される「WARNING」(警告)の文字。
鳴り響くブザー音。

しかし


「んな? こ、これは何としたことじゃ
 何故キャノンが発射せん!!」

明らかに前回とは様子が異なっていました。
発射されないキャノン。
それにくわえて、アーク全体が激しく振動を始めます。

「い、一体、何が起ころうとしとるんじゃ!!」

そのとき画面上に、白い服を着た老人の姿が・・・・・・

「こ、これは・・・ワシのジイさん・・・」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第236号
ページ番号
13 / 20
この作品について
タイトル
遠足大作戦
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第232号
最終掲載
週刊チャオ第238号
連載期間
約1ヵ月12日