その10 三組の動向と人質の存在
エクリプスキャノン再発射まで残り・・・58分
「ルージュは何をしておったんじゃ!!」
壁をたたいて怒るのは、ドクター エッグマン。
そしてその傍にはロッカク、とシャドウ。
「しかもカオスエメラルドのエネルギー反応が二つもある!
ニセモノを使ってワシをだまそうという魂胆か!?」
エッグマンは頭をかきむしります。
「ルージュは前に、大統領と何か話していたことがあったちゃお。
それも何か関係があるのかも・・・・・」
「なんじゃと!!」
「むっ、よく見ると、片方のカオスエメラルドには、カラアゲが付いておるではないか!!
これは・・・・・」
頭を抱え込むエッグマン。
みかねて、シャドウが侵入者の元へ行こうとします。
「待てシャドウ! 奴等に引導を渡すのはこのワシじゃ!
今こそ永きに渡った戦いに終止符を打ち、この天才の名を永遠に歴史に刻む時じゃ!!
だがもしもの時は・・・後を頼んだぞ。」
うなずくシャドウ。
「ロッカクもついて来い! すべてを得るか失うか、ここが瀬戸際じゃ!」
エッグウォーカーはアーク内をずかずかと歩いていきます。
「ロッカク、カラアゲは一体、どーしたんじゃい」
「ピラミッドでソニックたちのほうへ別れて・・・あとはわかんないちゃお」
「むうーー、ニセモノのエメラルドのことは?」
「聞いてないちゃお・・・・・」
やがて研究所跡地へたどり着いてしまうエッグマン。
「まったく、どいつもこいつも・・・
おっ、そうじゃ。 たしかあの機械には・・・・・」
そうつぶやき、エッグマンが研究所の壁のコンピュータをかちゃかちゃといじり始めます。
エッグマンがカラアゲとロッカクに取り付けた機械。あのマイクからこのコンピュータに、データが送られてきているはずです。
だからそこから聞こえてくるのは、テイルスとカラアゲの会話―――のはずでしたが
がたんっ
突然室内が真っ暗に。
「ぬおっ、停電か!?
あ゛ー、もうこんな時に!!」
こちら電源を破壊し終えた、テイルス。
エッグマンのたくらみについては、カラアゲからほとんど聞き出していました。
「ということは、カラアゲは体のどこかに、そのエッグマンの機械をつけられたわけだね。」
「そうちゃお!チャオの羽の裏に、その機械はついているちゃお。」
例によって正直なカラアゲ。
「えっ、じゃあその機械、見せてくれる?」
「いいちゃおよ。はい。」
カラアゲの言ったとおり、羽の裏にはなにやら小さな機械が、セロテープで止められていました。
テイルスはルーペを出して、機械をじっくり観察し始めます。
「そうか。GPSと音声による通信装置がつけられているみたいだね。
えっ・・・・・ということは・・・・・・・・」
「どしたちゃお?」
「マイク!!これまでの会話が全部もれちゃったかも!!
大変だ! カラアゲ、エッグマンたちがいた部屋はどこ?」
「たしか・・・・・研究所跡地ちゃお!」
「たぶん、そこのコンピュータに、このマイクで集めた音声が、すべて入っているに違いない!
その機械を捨てて。停電している今のうちに、研究所跡地に急ごう!!」
停電中 一人のエミー。
うろうろしている間に、どこかしらに迷い込んでしまったようです。
「もう!どうしてか弱い乙女を
ほったらかしにするのよぉ・・・」
そのとき、背後から・・・
「これはこれはお嬢さん。 何かお困りですかな?」
「ドクターエッグマン・・・!!」
テイルスが研究所跡地へ向かった、そんな時。
ソニックと少年は中央制御室へと到着していました。
「これが、メインコンピュータか。」
ソニックが示すその上には、カオスエメラルドがすでに6つはめ込まれています。
ピピ・・通信機を手にするソニック。
「テイルス、中央制御室についたぜ」
「OKソニック。じゃあそのエメラルドを・・・」
そのとき通信機からエッグマンの声が・・・!!
「そのまま研究所跡地へ持って来るように伝えろテイルス」
続いてテイルスの声。
「ソニックぅ・・・エミーが・・・・・」
「どうしたテイルス! エミーがどうしたんだ! テイルス!!」
呼びかけもむなしく、通信機は切れてしまいます。
「くそっ、エッグマンめ!」
「どうするんだい?研究所跡地に行くか・・・・・それとも?」
傍らで会話を聞いていた少年が問います。
「仕方ない・・・・そうだな。お前はここで待っていてくれ。俺ひとりで行く。」
「わかったよ。何かあれば、連絡するから。」
去っていくソニック。
「ふぅ・・・・・」
ため息をつく少年。メインコンピュータの裏に、もたれます。
「そういえば、ナックルズはどこにいるんだろ・・・・・」
数分後、バックアップ用の電源が作動し、アークに明かりが戻りました。