その６ 度重なる場面転換と悪夢の宴会

チャオワールドを抜け出したカラアゲとロッカクは
散々さまよった挙句、偶然にも、軍の倉庫に近い森に、足を踏み入れていました。

「ちゃお～、ここはどこちゃお？」
「さっきソニックといたのはプリズンアイランドっていう島だったから、ここも多分その中ちゃお。」

「じゃあここは一体、プリズンアイランドの、どこいらへんにあたるちゃおか～？」
「・・・・・・・・・さあ？」
「・・・・・・・・・・」

ピュアのロッカクは心配性です。

ざっ
「い、いま何か音がしなかったちゃお！？」
「こ、こ、こ、こ、こ・・・・・・・」
「この展開でいくと・・・・・さては・・・・・」


草陰から飛び出してきたのは、シャドウ！
２匹には目もくれず、ルージュ救出のため一直線に走っております。
途中ソニックに出くわし、かなり時間を消費してしまいましたが、いまや一刻の余裕もありません。

軍の秘密倉庫、セキュリティホールが目の前とわかるとそこで
「カオス コントローーール！！！」
激しく叫び、火花を飛ばし、途端に辺りに激しい閃光が走ったかと思うと・・・・・





どっかーーん！　どかーん！　ぼっかーーーん！！！

続けざまに、プリズンアイランドの各所から爆発が起こりました。
シャドウの設置した爆弾が、たったいま設定時刻を迎えたのです。

爆発は爆風を、爆風は津波を引き起こし、列島の周り高く、広がっていきます。

そんな中、テイルス操るトルネードが、無事脱出している様子も見えました。





５０年前に閉鎖されたはずのスペースコロニー「アーク」の研究所
そこから、地球を見下ろしているのは――――　シャドウ

「シャドウはあの星が好きなんだね」
その隣にいるのは、エッグマンのいとこにあたる、マリアです。

「プロフェッサーは、自分の研究をあそこに居る人間のためだと言っている。
　科学の力でみんなを幸せにするそれが自分の生きがいだって･･･」

「シャドウ･･･」

「マリア・・・、僕には見つからない　僕が生まれた理由・・・」
　僕はなんのために生まれ何をすればいいのか･･･
　いつかあの星へ行けば、それが見つかるんだろうか？」

・・・・・

「なーにたそがれてんのよ」
ルージュに声をかけられて、ふっと現実に戻ります。
しかしなおも、黙りこくったシャドウ。

「正直、以外だったわ。まさかアンタが助けに来てくれるとはねえ。
　でも、あんたのカオスコントロールってやつ、ホント便利よね･･･」

「フン、別にお前を助けたかったワケじゃない。
　カオスエメラルドのためだ。」

「あーらら、素直じゃないわねー
　ちなみにそこのチャオたちを連れてきたのは理由は何なの？」

見ればそこには、宇宙に来てやたら興奮しているカラアゲとロッカクが。
「すっごい、ちゃおー！！こんなところに秘密基地があったちゃおか～」
「さては、これは拉致チャオね！！？ロッカクが拉致されるほど可愛すぎたのが原因ちゃおか！？」

「いや・・・・単なるミスだ。どうやらこいつらも一緒にカオスコントロールで飛んでしまったらしい。」
「ふーん？アンタにしては、珍しいじゃないの」
何かを探るような目線で見つめるルージュ。


「ウォホン！　準備が出来たぞ」
そのとき、研究所の扉が開き、中からエッグマンが現れました。

「大丈夫なの？　カオスエメラルドは全部あわせても、まだ六つしかないんじゃない？」

シャドウが代わりに答えます。
「デモンストレーションをする分には問題ない。さあ、パーティをはじめよう」





某月　某日　18：00

「ナーッハッハッハー！
　世界中の人間共よ、よく聞くがいい！
　ワシの名はドクターエッグマン、人類史上初めて、全世界の支配者となる人間じゃ。
　偉大なる帝国の開幕セレモニー。　心して見るが良い！」

街に据え付けられた巨大な電光掲示板に、大きくエッグマンの姿が映し出されていました。
そのエッグマンがたった今、世界征服宣言をしたのです。

電光掲示板に釘付けになる群集。


そのとき、はるか宇宙に浮かんでいた小さな丸い衛星が、突如音を立て始めました。

ズゴン！！

衛星の下半分がぶっ飛び、中から巨大な機械の中身があらわになります。
そしてその中央には、これまた巨大な大砲が。

衛星はゆっくりと回転を始め、きっ、と真横を向きます。
そして―――

大砲は一瞬緑色に輝いたかと思うと、次の瞬間光線が地球を横切り、月を一撃。
半分が見事に砕け散る月。

「ナーッハッハッハ！
　ナーッハッハッハッハッハッハハッハハ！！」

呆然とする群集に、エッグマンの高笑いだけが響きました。