その5 超音速の針鼠と一時の帰省
はてさて、森へと足を踏み入れた少年&カラアゲ。
しかしまあ、ある程度予想できたことなのですが、
ここは今まできたことのない土地なわけで、地図もなしに入れば迷ってしまうのは確実。
さらに超音速で突っ走るシャドウを追いかけるなんて、鼻っから無理があることで、
現状から言ってしまえば、一行は目標であったソニック(シャドウ)を見失い、森の中に浮く足場の上でうろうろしていたのでした。
「なあカラアゲ?」
「ちゃお?」
「よくかんがえたらさあ、この島にエッグマンとソニックがそろってるって事は、なんか危険な香りがしないか?」
「たしかに…。ソニックがエッグマンのメカを破壊して大爆発とか、ありえすぎる展開ちゃお~」
「でもって最後にはエッグマンの味方だと思っていたやつが暴走を始め、ソニックはそいつも爆発させるわけだな。」
「そう。んで、その暴走したやつがあたりをめっちゃくちゃにするというのが定番中の定番ちゃお~」
「すると……いくら遠足だとは言っても……」
「ど…どーなるちゃお?」
どかーーーーーーーん!!!!!
突然、爆音が響き渡りました。
視線を走らせて見れば下方、木々の狭間で青いものが、一瞬駆け抜けたように思えます。
続いてまたもやどかーーんと音が鳴り、周囲の木の葉が揺れ落ち、ソニックとその相手している黒い姿が垣間見えました。
「あれは!!」
「ソニックちゃお!!!」
そういうが否や、カラアゲはソニックのいる足場に向かって、猪突猛進。
あわてて追いかける少年。
どーーーーーーーーーーん!!!
ソニックのホーミングアタックと、黒いやつのホーミングアタックが激突し、またも木々を揺らします。
カラアゲの乗りついだ樹木が若干傾きましたが、なんとか体勢を整え、さらに進んでいくカラアゲ。
どうやら両者の戦いはほぼ互角の模様です。
再びホーミングアタックが炸裂し、木々が揺れ、バランスを崩すカラアゲ。
少年がカラアゲに追いつき、バランスを崩しかけていたカラアゲをサポート。
これ以上近づいては危ないからとカラアゲを止めさせ、木の上で様子を見守ります。
ソニック、シャドウの呼吸にも乱れが見え隠れし始めました。
腰を落とし、身構え向き合ったまま、双方なかなか次の手が出せない数秒間。
そのときふと、
ピピッ ピピッ
シャドウの無線機からエッグマンの声が。
「シャドウ、何をしておる!早くせんと、キサマも島ごと吹き飛んでしまうぞ!!」
「なんだって!!」
爆弾設置の任務を済ませていたシャドウ、エッグマンの声で我にかえると、さっと走り去っていきます。
それを追いかけようとして、とどまるソニック。
「ええい、今は脱出が先だ!エミーたちにも知らせないと!」
そのときソニックのほぼ真上にいた遠足一行は足を滑らせ、ソニックの目の前へと落下しました。
「ちゃお~。しばらく会えなくて、寂しかったちゃお~」
「やあこんにちは始めまして。自分の名前は少年です。宜しく。」
もうちょっと気持ちのいい挨拶はできないものなのでしょうか?
そんな細かいことにはかまわず、ソニックは、
「そんなことより早くこの島から脱出しないと!ほらこっちに!」
少年とカラアゲの手をつかむと、密林地帯グリーンフォレストに飛び込んでいきます。
さすが世界のヒーロー、人命救助なんてお茶の子さいさい!
レールを伝い、ループをくぐり、颯爽と駆け抜けていくソニック+少年+カラアゲ
そこで、
「あれ?そういえばオマエ、カラアゲ?」
ソニックは、ようやく気付いたようです。
「何でカラアゲがここにいるんだ?」
「ステーションスクエアに落ちてた。」と、少年。
「思い切ってワープホールに飛び込んでみたちゃお。」これは、カラアゲ。
二人のセリフに事情を察したソニックは、頭を抱えます。
「ともかく、ガーデンに帰ったほうがいいだろうな。」
「どうやって帰るちゃお?」
「チャオキーを持って、2人でゴールリングに飛び込んでみる。」
ソニックはチャオキーを手にすると、少年とカラアゲを両手でつかんだまま、走り出します。
そして、見えてきたゴールリングに飛び込みました!
次の瞬間、3人はチャオロビーの中心、ワープホールに立っています。
みれば、カラアゲの友、ロッカクはまだ、チャオロビーに立ち尽くしています。
「よし、ちょっと急ぐから、カラアゲとロッカクは各自ヒーローガーデンに戻ってくれ。
君はテイルスと一緒に、ステーションスクエアに帰るといい。」
そういい残すと、ソニックと少年はワープホールへ消えていきました。
残ったのは、カラアゲとロッカクの2匹。
「ワープホールの外は、どうだったちゃお?」
ロッカクがカラアゲに聞きます。
「とーーーっても楽しかったちゃお! 遠足に行ってきたちゃお!」
「うらやましいちゃおねぇ…」
指をくわえて見るロッカク。
「ロッカクも、いってみるちゃお?」
「え……でも……、い、いいちゃおか?」
「ソニックはさっき怒ってなかったちゃお。だからきっと、大丈夫ちゃお!」
「すると……いってみたいちゃお!」
「いっしょに行ってみるちゃお。これも遠足の一環ちゃお!(ニヤリ)」
「よ~し……」
その後チャオロビーから、2匹のチャオが姿を消しました。