その3 大きな隠し事と意識の転換
で、一行はミスティックルーインへと到着しました。
「おお、なつかしい!小六のときの遠足のときと全く一緒だ!
さてあのとき行った丘はどこだろう。うむむ、さすがにそこまで詳しくは覚えていないが、
まあ一度は来たことのある場所だから、適当にうろついている間に思い出すことだろう。
さあ、いざ丘へ!」
電車から降りると、遠くを指差し、大声で叫ぶ少年。
後から のこのこと、カラアゲも降りてきます。
「待つちゃお~」
「ああそうか、当然のことながら、君はミスティックルーインに来るのは初めてなのか。
まあ仕方がない。こっちとしては面倒臭いし面白くもなんともないのだが、
歩き続けるだけなのも暇なので、丘に行くついでにミスティックルーインを案内してやろう。」
「ちがうちがうちがう。目的地はワイルドキャニオンちゃお~
それにチャオに道案内がそれほどまでに苦痛なんて、なんだかショックちゃお~」
「ああワイルドキャニオンね。って、ええっ?……ああ、ああああああ。そうだった、じゃない、初めからわかってたよ。」
「ワイルドキャニオンを忘れてたのはゆるすちゃお。
だから、ワイルドキャニオンへの道案内は、いくらめんどくさくても、ばっちりこなすちゃおよ!」
「まあそう急がなくたっていいじゃないか。丘は意外と近いんだ。さあ丘行こう、丘。」
「だめちゃお~」
「何いってんだよ。僕ははじめっから丘に来るつもりでミスティックルーインに来たんだ。
なんてったってミスティックルーインは、僕の初めての遠足の場所だからな。」
「じゃあワイルドキャニオンは?」
「そもそもワイルドキャニオンは、ミスティックルーインとは、ぜんぜん違う方向にあるんだ。
だからまあ近いほうである丘に行こう。さあさあさあ。」
「さてはキサマ・・・・・」
「さあさあさあこっちこっち、ほらすぐそこの階段を上ればすぐなんだよ。元気に出発だー」
カラアゲが言い終わらない間に少年はカラアゲを羽交い絞めにし、そのまま丘へと連れて行きました。
カラアゲは少年の腕の中で激しく抵抗しましたが、それもかなわず、カラアゲは丘へと連れ去られてしまいました。
えっちらおっちら、丘に到着した一行は、
「うーん、いい気持ちだあ~。ついに念願の、初めての遠足の地に到着だあ~
うん、よくやった自分。よくやったカラアゲ。よくやった地球。おお、生きていることがすばらしい!」
「何がすばらしい、ちゃお。こっちはちっとも気持ちよくないちゃお!」
かなり温度差が激しい様子です。
「うんうんうん。ものすごくなつかしいよ~。
そうだ確かあの時は、五年生と三年生の組はあっちの滝のほうに行ったんだっけなあ。
それでその他の学年だけが、丘だったんだ。いや~あの日は猛烈に暑かった。
それで帰りはちょっとふらついてしまったなあ。何とか帰れたけどなあ。うんうんうん。
しかしその年以降、遠足は打ち切りになってしまったんだ。
というか、小学校卒業したら、遠足は修学旅行に変わってしまったんだ。憎いぞ修学旅行!
ああ、忘れかけていたけど、ミスティックルーイン案内をしなければならないんだったね。
あそこに見える大きな滝が……えーっと、えーっと、まあ、名も無い滝だ。
で、その隣に見えるのが風の洞窟。入ると、気持ちいいよ~」
「そんなのどーでもいいちゃお。無駄足だったとわかったなら、早く帰るちゃお!」
「まあそういわずに。今度は視点を変えて、後ろのほうを見てみよう。
今度向こうに見えるのが東の洞窟?だったかな。
で、あそこにあるのがテイルスの工房。あそこの岬からトルネード号が飛び出すんだ。ばひゅーんてね。
……ん?あれは?」
「あの今工房から出てきたやつが、トルネード号ちゃお?」
「ああ、たぶん。今日は偶然にもテイルスがいるんだな。おーい、テイルス~」
「うん?」
テイルスはトルネード号に乗り込み飛び立つ予定だったのですが、突然呼びかけられたため、一時停止しました。
見れば、見ず知らずの少年と白チャオがテイルスのほうに駆け寄ってきます。
「テイルス、どこ行くんだい?」
「んーと、ちょっとソニックの所に・・・・・」
「ソニックちゃお!?」
その言葉に、カラアゲが目を輝かせました。なぜならカラアゲは、ソニックが大好きだからです。
「それなら、カラアゲもついてくちゃお~」
そういいつつ、トルネードに乗りこむカラアゲ。
「カラアゲが行くなら僕も行こうかな。これも遠足の一環だ。」
そういいつつ、トルネードに乗りこむ少年。
「あっ、ちょっ…、勝手に乗らないで~」
「まあいいじゃないか。遠足はみんなで行くべきものだ。」
何か勘違いしている気もしますが。
「結構危険な場所に行く予定なんだけど・・・・」
テイルスは二人を引きとめようとしますが、それに対して二人は
「別にいいよ。遠足途中で死ねるなら悔いはない!そうだろカラアゲ?」
「そっくりそのまま受け止めることはしかねるちゃお。でもソニックに会えるんだから、まあ賛成ちゃお~」
「は、はあ……」
てなわけでここからはテイルスと一緒に遠足にいくことになりました。
……
トルネードの向かう先は、ソニックがGUNに捕らえられているという軍事基地、プリズンアイランドでした―――