その1 謎の来訪者と遠足計画の進行


ステーションスクエアの一角、

「ふふふふふ・・・・・」

とあるアパートの一室にて、

「ふっふっふっ・・・・・」

一人の少年が、

「はっははははは・・・・・」

不気味に笑っていた。

「はっはっははーー!!!」














ここに、ステーションスクエアのとあるアパートで、
一人の少年と一緒に暮らす白チャオ、カラアゲがいます。

ただし、今はまだ、睡眠中。

はてさて、どんな夢を見ているのでしょうか・・・・・
ちょっとのぞいてみましょう


・・・・・・・・・・・


カラアゲは夢の中で、ヒーローガーデンにいました。
ボール遊びをしていました。

見ると、もう一匹、ボール遊びをしているピュアチャオがいます。
名前は、ロッカクです。

ロッカクはカラアゲが蹴って進むボールを、
後ろのほうから追っかけてきました。

そして楽しそうに遊んでいるカラアゲからボールを横取りすると、

「すごいぞドリームをブロードキャストするキィィィィッッック!!!!」
技名を叫び、思いっきり蹴りました。

ボールは猛スピードで飛んでいき、ガーデンの木に直撃するとポーンと跳ね返って
ガーデン入り口の門の方に転がっていき、そのまま見えなくなってしまいました。
ボールはガーデンを飛び出してしまったようです。

予期せぬ出来事に驚愕するロッカク。
マンガなら、背景に ガーン とかって書いてあるでしょう。

「どするちゃお?」
あまりの出来事に立ちつくしてしまったロッカクに対し、カラアゲは訊きます。

「今回は、ロッカクが悪いちゃおねえ・・・・・」
必死で考えるロッカク。

「ヒーローレースに出て、とりかえしたらどうちゃお?」
「また、ちゃおか~?」
「うーん」
考え込んでしまうロッカク。


カラアゲが、助け舟を出します。
「とりあえずチャオロビーを探してみるちゃお。」
「そうちゃおね!早速いくちゃお!」

と、いうわけで、二匹はガーデンから飛びだしました。


二匹が出てみると、ボールはすぐに見つかりました。
チャオ幼稚園の入り口付近に、転がっているのが見えます。

「さあ、これでだいじょぶちゃお~」

ロッカクがほっとした顔で、ボールを拾い上げたとき、
カラアゲの頭上の球体がびっくりマークになります。


カラアゲの視線の先をたどると、そこにはワープホールが。

「う~ん、何度見ても、入りたくなるちゃおねえ」
にやけつつ言うカラアゲに、ロッカクは
「えーあの “出て行ったら、チャオキーをとるまで帰ってこれないのが寂しい”ワープホール?」
少々批判じみた声で言いました。

しかし、カラアゲは、カラアゲの言うことを無視して、ワープホールの中に足を踏み入れます。

「あっ、待つチャオ~」

その声が聞こえたか聞こえなかったか、カラアゲの姿は、すでにそこにはありませんでした。

―――――










「はっはっははーー!!!」
いきなり聞こえた大声に、カラアゲは目を覚ましました。

起き上がって、声のした方向に行ってみると、
そこには、腰に手を当て、胸をそらし、壁を見ては不気味に笑う一人の少年が。

起きてきたカラアゲに気付き、ニヤリと笑います。

「よしカラアゲ、これから遠足へいく。」
「へ?」

カラアゲの、新たな一日の始まりでした。





・・・・・・・・・・



「と、いうわけなんだ」

少年は長々と、壁に貼った模造紙を使って、遠足の意義やら、自分の遠足体験談などを演説しましたが、カラアゲにはさっぱり、
「わかんないちゃお~」


「つまり、――」
少年のまた、長い説明が始まりそうです。

「僕は遠足が大好きなんだ。それで、君はその、昔住んでいたという『ヒーローガーデン』に帰りたいんだろう?
 そこで、今日は遠足のついでに、そのヒーローガーデンにいくために必要になるチャオキーを探してやろうというわけなんだ。」

「・・・・・・」
カラアゲには、遠足とチャオキー探しがどうにも結びつきません。


「で、どこに、遠足にいくちゃお?」
「ワイルドキャニオン。ナックルズから、そこにチャオキーがあるって聞いたんだ。」
「ナックルズちゃお!?」
カラアゲはナックルズを知っています。なぜなら、ときどきカラアゲに小動物をくれるのが、ナックルズだからです。

「うん。正確には、エミーから聞いたんだ。エミーがナックルズから聞いたらしい。よく知らんけど。」
「エミーちゃお!?」
カラアゲはエミーも知っています。なぜなら、カラアゲのよく知るソニックが時々エミーのことを口に出すからです。

「うん。このアパートには、エミー住んでるんだよ。」
どうりで、夜中にときどき怪獣みたいな轟音が響いてくるわけです。


「まあそんなこんなで、遠足にいこう!」
そういってカラアゲに指をびしりとつき指す少年。

なにがどうなのか、よくわかりませんでしたが、
カラアゲはそのあまりの迫力に、思わずうなずいてしまいました。

もっとも、カラアゲがうなずいてしまったのには、
「エミーと同じアパートに長居したくない!」
という気持ちも、多少こめられていました。


「いざ、ワイルドキャニオンへ!!」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第233号
ページ番号
2 / 20
この作品について
タイトル
遠足大作戦
作者
チャピル
初回掲載
週刊チャオ第232号
最終掲載
週刊チャオ第238号
連載期間
約1ヵ月12日