第九十二話 破滅神
・・・寒い、体が動かない・・・
・・・どうすればいいんだ?なにもできない・・・
・・・このままでは窒息してしまう。何かを・・・
ラルヴァの意識が薄れるなか、頭の中で声が聞こえてきた
「あの力を解放しろ」
・・・だ、誰ですか?・・・
「フフフ・・俺の名は・・ヴァルアムだ。」
・・・ヴァ、ヴァルアム・・・?
「そう、ヴァルアムだ。ラルヴァよ、あの力を解放するんだ」
・・・あの力?・・・
「そうとぼけることはないだろう。紅炎だよ。俺が力を増幅させてやる。」
・・・増幅・・・?
ラルヴァは急な話に戸惑って、よくわからなかった
「そうだ。増幅だ。俺が力をかしてやるといっているんだ。」
・・・貴方は誰なんですか・・・?
「俺はヴァルアムだといったろう」
・・・名前はわかっています。誰かがわからない・・・
「フフフ、そうか。特別に教えてやろう。俺は破滅神だ。破滅神ヴァルアムだ・・・フハハ、フハハハハハ!!」
破滅神を名乗るものの笑い声がきこえてきたときには、すでに意識が完全にきえていた。
意識がきえてもラルヴァには体の中に何かが入っていくような感覚を感じられた
一方ルースは
ルース「ん!?」
ルースはゾクッとしてダミーのほうを振り向いた
グラウス「あ、どしたの?」
ルース「あれをみろ!」
ルースはダミーのほうを指差した
グラウス「あれって・・・んん!?」
二人がダミーのほうをみてみると、ダミーがみるみると溶けていくのがわかった
ルース「・・いったいなにがっ!!」
気がつくとあっというまに溶けて、ラルヴァがでてきていた
ラルヴァの体は激しく燃えている
ルース「紅炎かっ・・・!?いや、いつもよりも熱気がっ・・!!」
ラルヴァ「・・プロミネンス・スパーダ!」
ラルヴァはもっていた燃えさかる剣を地面に刺してから、切上げるように抜いた
地面はルースの方向へ向かってスパーッと切れていき、ルースの足元を通過した
ルース「・・下からとてつもない熱気がっ・・・!!」
ルースが横に飛び退くと、切れたところからどんどん爆発していった。その爆発力はすさまじかった
ラルヴァ「今日こそ決着をつけよう蒼水の剣士、ルース・・」
ラルヴァの周りには赤い熱気のようなオーラが漂っている
ルース「望むところだ、紅炎の剣士ラルヴァ!(・・ラルヴァの声のほかに別の奴の声がきこえる!)」
グラウス「いつもとなんかちがうぞラルヴァ・・!」
ルース「・・蒼水、カタストロフバースト!!」
ルースがそう叫ぶと、水を思わせるオーラがルースの体と剣の周りを漂い始めた
ラルヴァは天高く飛びあがり、遥か上空では剣を構えているラルヴァがいた
ルースも続けて、飛びあがった
ラルヴァ「・・これで、終らせよう・・」
ルース「これで、決着が・・・!!」
ラルヴァとルースの距離がある程度近くなったところでラルヴァは斬り下ろしを、ルースは斬り上げを放った。
二人のオーラの力が激しくなり、↑からおちてくる隕石と↓から突き上げる水柱のようなものをイメージさせた
ルース「(いつものラルヴァではない・・強い!!!このままでは持たないだろう・・)」
グラウス「俺にまかせろっ・・・・!!!」
グラウスもルースとラルヴァの剣がぶつかりあっている上空に飛びあがりラルヴァの剣を渾身の力をこめて弾いた
ラルヴァ「・・・!!」
ルース「もらったっ・・・!」
ルースは空中の無防備なラルヴァを、力を込めて斬った
するとラルヴァの腹に大きな傷ができ、ラルヴァは血が流れる腹を押えながら落下していった
「・・フン、こんな肉体じゃ思ったような力を出せないな・・それとも、紅炎の剣士ラルヴァを支配できないのか・・?」
そのときになにやら黒い煙のようなものがラルヴァの体から放出され、天高く飛んでいった
ルース「・・いったい何があったんだ。」
ルースは倒れたラルヴァの近くへ駆け寄った
ラルヴァ「は、破滅神を名乗るやつに・・からだをのっとられた・・!!」
ルース「・・破滅神だと?」
ラルヴァ「ドルフォスではなく、ヴァルアムというやつ・・に・・」
ラルヴァの顔は少し青かった
ルース「・・体調が優れないようだな」
ラルヴァ「・・そうですね、ここは負けを認めましょ・・・う・・・」
ラルヴァは言葉を言い残してから、動かなくなった
ルース「・・・気絶か。死んではいないようだ」
グラウス「・・そのようだな~・・」
ルース「だが、これで戦いはおわった。そろそろみなも終っているころだろう。バトルドーム中心部へ・・いくか?」
グラウス「ああ、そうするよ」
そのとき、そばで倒れていたリカバーがおきあがった
リカバー「うぅん・・おなかがいたい・・」
リカバーは腹をかかえながら静かに立った
グラウス「だいじょうぶか?ごめんな、ほったらかしにして・・」
リカバー「ほ、ほったらかしに・・」
リカバーは少し暗い顔をしてグラウスを見つめた
ルース「まぁいいとして、中心部へいくぞ」
続く