チャオ同好会Returns(リターンズ)・その2

<その2>


【俺】「!?」
【北川】「しーっ!」

そこで、俺が見た光景は。


【副会長】「それ、どうしたんだ?」
【会長】「べ、別にアンタの為に作ったんじゃないんだからね!ただ作りすぎただけなんだから!
     ・・・はい、お弁当!」
【副会長】「あ、ありがとう・・・」

そして、お弁当を食べ始める2人。

【会長】「・・・ど、どう?」
【副会長】「うん、まぁまぁかな。」
【会長】「“まぁまぁ”ってどういう意味よ!」

すると会長は、副会長からお弁当を奪い取る。
・・・しばらくして。

【会長】「・・・これ、食べなさいよ。」
と、奪った副会長の分のお弁当のごはんを箸でつかみ、副会長の口に。

・・・って、これって「あーん」じゃねぇか!

そしてそれを食べる副会長。その瞬間、俺のすぐ横で小さなシャッター音が響いた。

【北川】(小声で)「まず証拠写真1枚ゲット!戻るわよ!」

という訳で、俺達は生徒会室から出た。


【北川】「しっかし、あたしも初めて見たわね、本物のツンデレ。」

つ、ツンデレ!?あの、テレビの秋葉原特集でたまにやってるあれか?
確か、「いつもはツンツンしているけど、好きな人と2人っきりになるとデレデレする」って意味だったような・・・
そう言われれば分からなくもない。分かりたくはないが。

つまり、話を整理すると、会長と副会長が付き合ってるという噂は本当で、しかも会長さんはいわゆる「ツンデレ」と。
んで、それを誰にも見せないために昼間は鍵がかかってるはずの生徒会室でああいう事を、って訳か。

【北川】「それじゃ、今日の放課後も部室前に集合!いいね!」

そう言って、北川部長は行ってしまった。


・・・その、放課後。やはり部室前に3人が集まった。
【俺】「まさか、今度は・・・」
【北川】「ええ、ターゲットは副会長と書記よ。・・・ついて来なさい!」

そして何と北川部長は、学校を飛び出した。


・・・走る部長を追いかけること約10分。息が切れそうな中、着いたのはとある家。
というか、月島先輩はついていけずに迷ってると思います。後ろ見えませんし。

【俺】「ここって・・・まさか・・・」
【北川】「そう!副会長の家よ。」
そう言うと彼女は、大胆にも玄関から家の中へ。・・・って、これ犯罪じゃねぇのか!?住居不法侵入だろ?

と思いきや北川部長、普通に呼び鈴を押して、親に「副会長に言われて忘れ物を取りに来ました」と見事なまでの演技。
こうしてまんまと上がりこみ、副会長の部屋へ。いや、これはこれで不法侵入が成立しそうな気がしないでもないが。

そこで見た光景もまた、恐ろしいものだった。

【俺】「これは・・・まさか・・・!?」

そこにあったのは、おびただしい数の萌え系アニメのポスター。

【北川】「そう、副会長は隠れオタクだったのよ。しかも重度のね。」
【俺】「会長は・・・?」
【北川】「あたしがクラスメートから話を聞いた限りじゃ、知らないわ。つまり、これを2人の目の前でバラせば・・・!」
そう言いつつ、写真を撮りまくる北川部長。目が怖いです。マジで。


副会長の家を出たところでようやく月島先輩と合流すると、北川部長はとんでもないことを俺に命令しやがった。
【北川】「アンタ、今すぐ家に戻って私服に着替えてきなさい!そして、南町の交差点に30分後に集合!」

・・・どういう意味だ、一体?しかし、従っておかないと後々怖いので、仕方なく家に帰って私服に着替え、南町の交差点に。

【俺】「今度は何をやるんすか?書記さんがターゲットってのは何となく分かるけど・・・」
【北川】「それが分かれば話が早いわ。
     目標はただ1つ、書記の素顔の激写よ!」
なるほど、超美人説もあるメガネを取った素顔を確かめるという訳か。
【俺】「でも、どうやって?」
【北川】「ここは書記が毎日登下校に使う道。アンタ、急いでる通行人のフリをして書記にぶつかって、その勢いでメガネを外しなさい!」
【俺】「なんで俺が!?」
【北川】「あたしも月島さんも顔を知られちゃってるわ。アンタなら無関係な通行人になりきれる、って訳。」

・・・んな無茶苦茶な。んで、北川部長と月島先輩がそれぞれ別方向からカメラを準備してる、という算段らしい。
そうこうしているうちに、書記さんがやってきた。

俺は建物の影から走り出し、書記さんと正面衝突。その一瞬、右手の指をメガネのフレームの内側に入れ、思いっきり外へ。
【俺】「ご、ごめんなさい!」
【書記】「い、いえ、大丈夫です・・・あれ、メガネは?」

・・・噂は本当だった。
こりゃ月島先輩にも負けない超美人。下手な女優さんよりよっぽどキレイじゃねぇかよ。

でもさすがに書記さんが可哀想なので、俺はメガネを探して書記さんに渡してあげた。
【書記】「あ、ありがとうございます!」
すると彼女は、小走りで去っていった。


【北川】「ふふふ・・・これで3人の弱味は握ったわ・・・全てはチャオ同好会存続の為にっ!!」

・・・この翌日、生徒会にチャオ同好会から果たし状が届いたという噂を俺は耳にした。

<続く>

このページについて
掲載号
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号
ページ番号
2 / 4
この作品について
タイトル
特別読みきり・チャオ同好会Returns(リターンズ)
作者
ホップスター
初回掲載
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号