第0話 【冥界からの使者】
「死神・・・?」
「あぁ・・・」
死神・・・それにしては小柄だ。
髑髏のお面を被って顔を隠しているが小柄な体格・・・・幼稚園の子くらいだ。
しかし身体より大きな黒い翼、そして頭に浮いてるボールみたいな球体から人ではなさそうだ。
死神といえば・・・・俺の命を奪うのか・・・ いやだ!!
そんな事を考えている内にこう発言していた。
「俺の命はわたさない!!帰れ」
熱くなってそう叫んだが冷静に考えれば死神なんているはずがない。
「命を奪いはしねぇ ただ俺は伝えにきた。」
死神がいる、いないについて物事を考えていたがそいつから返ってきた言葉は意外な答えだった。
「伝える・・・?」
「・・・お前の命はもう尽きる。俺はその事を告げにきた。」
「俺が・・・・死ぬ・・・・?」
考えないようにしていた事が頭に何度もこだました。
いやだ・・・・
俺は・・・
まだ・・・・
「死にたくない!!」
目には今にもあふれんばかりの涙。
俺はまだ・・・・
「嘘だろ!? なぁ?」
「お前の生死は俺が決める事じゃない。お前はいま未知の重病にかかっているだろ?」
何でその事を・・・・いや・・当てずっぽうだ!こんなの適当にいえば当たりもする。
いろいろな思いが頭の中で交差する中、あいつは俺の手を握った。
「冷たい・・・・」
まるで死人に触れたようだ。 生き物なら普通は温かいはずなのに・・・・
その事を認知した瞬間、やつの言う事も信じれるようになった。
「今やっとお前は俺の事を信じ始めたな。」
「え・・・」
「そしていろんな事をしたいから死にたくないってか?」
当たっている・・・思っている事全てが奴の口から出てきている。
「次に俺が現れる日がお前の命日だ。」
そう言い残すとあいつは俺の目の前から去っていた。
俺はその日から残された時間の使い方を考えた。
週に1度しか来ないあいつらにはもう会えないかもしれない・・・
まさかもうこの前のが最後のチャンスだったのか・・・・・?
過ぎた事に後悔するなんで未練がましい・・・
それより今の俺には時間がないんだ・・・・
今の俺に出来る事・・・・・
「これしかないよな・・・」
そう呟くと俺はペンと紙を取り出した。
そして俺は必死にペンを動かす。
部屋の机に置かれた写真立てに笑顔で写っている、あの人へと。