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そして、大掛かりな"吸血鬼退治"が始まった。
現在、吸血鬼は自宅。自宅さえも分からない警察は、とりあえず駅の前。ガーデンの前に配置させる。
そして、街全体を覆い尽くすように警官の配置を進めた。
まだ完全に上りきらない太陽の照らす中、外にいた街の住民たちは住所を警察側の紙に記入してから家に入る。
「開始!」
それぞれの部隊隊長が号令を挙げ、一斉に捜索を開始する。完全に防備し、腰には拳銃すら見える。
信頼低下はしたものの、一応は信頼できる存在である警察。立ち直りはここしかないと言うだけで、反対論を潰していった。
紙に書かれた住所以外に訪問し、中を隅から隅まで探し、その家の住所を書く。
とは言っても、正直マンションだらけ。同じ住所が縦にズラリと並ぶことになる。
空砲で病室の男に発砲した警官の証言により、吸血鬼の特徴が明らかになっていた。
むしろ、病院の監視カメラでも確認できた。
こうしてみると、何か狙いがあるのでは?とも考えられるがこの方法ならば間違いない。
地上波は、信じられないだろうが警察の一斉捜索を知らせるメッセージを放映していた。
一丸となり、街が。一つの世界が今全員で鎖を断ち切ろうとしている。
だが、奥にある変わった鎖は"吸血鬼"でしか切ることが出来ない。結局は、元に戻る。
こうして、戦争が幕を開けた。

とある病院の病室。
外が騒がしいので、ベッドから降りてみる。ふらついていた千鳥足は確実に地面を踏み込める。
そして、窓越しに下を見てみるがそこにはとんでもない光景があった。
なにやら黒いものが動いている。そう、一斉捜索であった。
そんなものプライバシーとかの問題でヤバイんじゃないか。どうやら、テレビに映っているメッセージは電源を切っても着くようになっている。
テレビの仕様なのだが、とんでもない。
メガホンで絶えず「一斉捜索開始」の知らせをしている。この病室にも入ってくるのか。
扉の方を向き、ベッドに向かう。そして、ゆっくり座った。
座禅を組み、これまでの出来事を振り返ってみる。
ため息をついたと同時に、扉が勢い良く開く。
「床に伏せ、手を横に大きく広げろ」
銃を向けながら言うものだから、威圧感がすごいものとなる。
そのまま、バカらしい姿勢で待機。結構効率が良いのかもしれない。
部屋の捜索が簡単に終わり、警官が出て行く。
だが、薄い幕が張っているのか、気がつかずに皆が出て行く。
警官が一人、残って座っているのだ。何も考えないで、力が抜けているというような。
脱力のオーラ。顔を覚えておこうと、覗きこんだその時だった。

手に注射器を握っている。

「やっと会えたな、結構苦労したもんだ」
"吸血鬼"が、心の底から笑う。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号
ページ番号
9 / 12
この作品について
タイトル
「泥酔した吸血鬼」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号