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事件の全容はこうだ。
街の目立たないところにチャオが安置されている。
立っているかのように壁にもたれかけているので、そのチャオがまるで"生きている"と錯覚してしまう。
もう、そのチャオは血を吸われているのだ。
報道では「ストローで水分が尽くまで」吸い上げるとまで誇大な見方をしているところもあるが、それは騒ぎに便乗した馬鹿のせいだと言う。
実際、吸われていることからシワシワになった方のチャオの捜索もしている。
ただ、街の住民を安心させるために私服での捜索を行うことが優先されている。
そもそも、ガーデンから出ていることが妙であるので、対象となるチャオを見つけることは簡単。
しかし、目立たないところにそのチャオはいる。
犠牲になったチャオは有限。最近発生したばかりだからだ。

「あの男を追いかけた警官二人はどうなりました?」
既に警官は落ち着いていた。
テレビに映る、「吸血事件」の現状を見て安心したのだ。
何かを捻じ曲げた状態で報道されていても困るだけだ。私服で捜索をしていることがバレた場合、犯人側にちょっとしたアドバイスになる。
警察側から報道側に、それだけは圧力で放送禁止。NGワードにしていた。
「二人とも無事に帰ってきた。そこで嬉しいニュースだ。男は捕まった。チャオも生きている」
突然の告白に驚いた。
全てが良い方向へと動いていたと言うのだ。耳を疑う。
「いくらなんでもそれは無いんじゃあ?」
男が不思議そうに聞く。
ただ、警官の心の内にはある一つの事実がある。「吸血事件」に深く関わるもの。

彼もまた、"犯人"なのであった。
それ以上に何も無く、未満にも何もない。ただ、それであった。

「[ キーワードを使うな ]!止めろ!」
突然、生放送中のニュース番組に異変が生じる。
何かを喋った後に、こんな怒鳴り声。五秒と経たないうちに、カラーバーが表示された。
しばらくすると、「しばらくお待ちください」の表示。
一体何が起こったのだろうか。
男が唖然としてテレビを見つめる男を見ていると、警官が携帯電話を取り出し、どこかにコールする。
繋がらなかったようで、急いで閉じ病室から慌てて出て行く。
「話はまだ」
呼び止めるが、届かない。頭痛が突然激しくなる。一時的なものだ。
興奮したからなのかは分からない。よくはわからないが、何かが起きたことは間違いない。
他の局に回すと、普通に番組を観ることができた。
つまりは、やはり局の方で障害が発生しているのだろう。表示が映っている画面にして、楽な姿勢になる。
しばらくして、画面が切り替わる。
「映像に乱れが生じましたことをお詫びします。
続きまして、[ 園長先生は不正金を使って幼稚園を建てた ]とのウワサを討論致したいと思います
●●さん、●●さん、よろしくお願いします」
何事も無かったかのように放送が続けられた。
意図的なストップ。ニュース紙の一面を飾るとまでは行かないが、ニュースにはなるだろうか。
こんな小さなことでさえ騒ぎ立てる。それがこの街。
他の街へ行ったが、あそこは酷いものだ。犯罪が横行し、それを軽い罪を与えて終わりにしてしまう。
それであっても上手く行っているのだから驚きだ。
「[ 思ったんだけど、幼稚園の資金収入源って闇の取引所だけだよね。ある意味大物だよ ]
あれは不正金の内に入らないんですかね?」
討論が続いている。しかし、映像が少し乱れている。
やはり裏で何かあるようだ。「吸血事件」の最中に起こったハプニング。警察の圧力。
男はひらめいた。この二つの事例を重ねると答えがいくつか出るが、その内の一つ。
あの警官が出て行ったことからも考えられる。
圧力をかけて伏せていた、私服捜索の件だ。
あの夜、まだ街は人がポツポツと歩いていた。あの中に数人、警官がいただろう。夜通しで捜索をしていた。
なのにも関わらずチャオを見失ってしまったこと。そして、チャオがガーデンから出て殺されること。
イマイチ繋がらないが、そうとしか思えない。思い込みかもしれない。
圧力をかけられる前にニュースの原稿が完成してしまったら、"私服捜索"も喋ってしまう恐れもある。
もしくは、圧力をかけたのがつい最近だとしたら。
いずれにしろ、それでは警察としてはダメダメである。どうしようもない。
「それでは一旦CMです」
警官が駆けつけたのだろうか。いやに早いが。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号
ページ番号
4 / 12
この作品について
タイトル
「泥酔した吸血鬼」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号