【その4】
<その4>
【ディオス】「聞くところによれば、人間には階級というものが存在するそうだな・・・
この時代になってまだ階級か!?笑わせてくれる!!いつまで原始時代を続けているつもりだ!!
我らがチャオは完全に平等で自由だ!階級など存在しない!」
【青村】「・・・・・」
【ディオス】「そんな愚行を続けているからこそ我々はこの地球に人間は必要ないと判断した!
元々これだけ環境が整った星を体が弱く環境適応能力が弱いチャオに与えずして誰に与えるというのだ!!
この星に住むに相応しいのは我々高い知能を持つチャオだ!!この判断が間違っていると思うか!?」
【春野】「違う・・・」
【ディオス】「!?」
【春野】「爺さんが言ってた・・・グラン・ルネスが2人乗りなのは、そんな理由じゃねぇ・・・!」
春野はそう言うと、ゆっくりとグラン・ルネスを起こした。
【春野】「山中・・・覚えてるか・・・?爺さんに、グラン・ルネスを貰った日のこと・・・」
【山中】「ええ、忘れないわ・・・あの時爺さん、こう言ってたわね・・・
『グラン・ルネスが2人乗りなのは、2人で乗ってこそ真価を発揮するから』・・・」
そして、2人で叫んだ。
【2人】『2人が力を合わせれば、無限の力を得られるから!!!』
すると山中が声をかける。
【山中】「『あれ』、やるわよ!準備はいい!?」
【春野】「もちろんだ!エターナルドライブスタンバイ!!」
【山中】「エネルギーチャージ・・・35%・・・47%・・・60%・・・」
エネルギーチャージに入るグラン・ルネス。
【ディオス】「笑止!!そんな温い話など誰が信じるか!!
我がカオスブレイカーの力、思い知らせてくれよう!!」
そして。
【2人】「インフィニティ・・・キャノン!!!」
【ディオス】「カイゼルブラスターぁぁぁぁっ!!!」
両機の必殺技が炸裂し、辺りは閃光に包まれた。
【青村】「も、ものすごいエネルギー量・・・捕捉不能・・・どうなったの・・・!?」
・・・・・。
【山中】「・・・ん・・・生きてる・・・?」
山中の意識が戻った。死んではいないようだ。だが、体が重い。
その上、流血も止まらないようだ。目の前の壁が赤く染まっている。
・・・その時、異変に気がついた。
【山中】「!?りょ、諒一っ!?」
体が重い原因は他でもない、春野が自分の上で倒れていたからだ。
【春野】「・・・?・・・!?
うわ、ご、ごめんなさい!!」
春野の意識も戻り、慌てて山中の隣に戻る。
【山中】「ま、まぁ不可抗力だし、謝らなくてもいいわよ・・・それより、大丈夫?」
【春野】「俺が?機体が?」
【山中】「ちょ、変な事言わせないでよ!!・・・どっちもに決まってるでしょ!」
【春野】「機体の方は・・・何とか動くみたいだな。俺はあちこち痛いがまだ大丈夫だ。」
【山中】「そ。それじゃあたしと似たようなもんね。
っと、カオスブレイカーは・・・」
と、カメラの様子を覗き込む。するとその先には、自分たちと似たような状況のカオスブレイカーが。
春野もその状況を認識すると、急いで機体を立ち上がらせた。早くしないと、やられる。
だが、次の瞬間、耳を割くような叫び声が2人に響き渡った。
【ディオス】「ぐわあああああっ!!!」
ディオスの絶叫である。
実はディオス、体の傷が深く、動けなくなってしまったのだ。
人間とチャオの戦いで運命を分けたのは、ディオス自らも指摘していた体の強さだった。
【山中】「どうやら・・・知能より先に強化しておくべき部分があったみたいね・・・」
【春野】「最後に言っておくぜ・・・確かに人間には階級が残ってる。だが、その元を作ったのはお前らだろうが!」
そう、チャオにより環境が過酷な月に追い出されたからこそ、麗族と平民の差が生まれたのだ。
【春野】「そしてもう1つ。確かに俺たちは知能で劣るかも知れねぇ。愚かかも知れねぇ。
だけど、月ではな、みんな明るく笑って暮らしてんだよ!!
確かに階級はある。俺は最下層の連中も見たことがあるが、誰一人として困った顔はしてなかった。何でか分かるか!?」
【ディオス】「・・・・・」
【春野】「『地球に帰れば、みんな仲良く豊かに暮らせる』って、信じてるからだ!
・・・俺たちは、そいつらみんなの希望を背負ってるんだよ!!」
そう叫び、ビームブレードをカオスブレイカーに突き刺した。
爆発音と共に炎が上がる。その様子をただ、3人は何も言わずに見ていた。
短くて、しかし重い戦いは、こうして幕を閉じた。
<エピローグへ続く>