ものごと ページ4
暗がりの中を一人の男があるいてくる。
こつっこつっ、と軽快な音でレンガ造りの床を踏みしめて。
手にはたいまつを持っていて影と明かりがくっきりと壁に映っている。
かぎ束をこしに付けてあることをみると、出してくれるらしい。
と、そういえばここはどこだろう?
もしかして、誘拐?
「さっきは手荒いまねをしてすいませんでした」
と、あやまりながらも鍵を開けるその男。
以外に背が低く、ぼくより10~20センチくらいしかちがわない。
「へ?」
と、ききかえす。
聞きたいことがありすぎて、何をいえばいいのか、話がまとまらない。
「聞きたいことはたくさんあると思いますが、今は状況を説明している暇はありません。とりあえず、ついてきてください」
おっと、以外にしんせつのようだ。
人の腹をいきなり殴って親切だといえるのなら。
「いてててて・・・」
いったいどうなっているんだ?
全く、何もしていないぞぼくは。
気がつくと、また別の部屋にいた。
レンガの牢獄ではなく、機械だらけのこの世の最先端を再現したような部屋だ。
翔もいっしょだった。
体は自由になっていて、扉がうしろにある。
その扉にもたれかかるように座っていた。
部屋のおくには機械の間に無理やり押し込んだような机が置かれている。
その机に座っているのは、どうやらボスのようだ。
その隣には二度も殴った男が立っている。
「だいじょうぶ?」
思いがけない方から声をかけられて、少し驚いた。
さっきは部屋のすみに気を取られていたがとなりには、秋と輝がたっていた。