ものごと ページ5

まったく、この状況を説明しろといわれてこの世界に説明できる人はどれだけいるだろう。しかたがないので、説明することにしよう。
おそらく、自由が無いことは間違いないだろうな。
機械尽くしの部屋には、どこにでもいるような中年男とその男より年をとったような男。
両方とも、黒尽くめの服装だ。
それから僕、秋、翔、輝。
とらわれているのならわざわざ話しかけては来ないだろう。
なのに、なぜこんなに丁寧に話しかけてくるのだろうか。
これは、当人に説明していただく必要があるな。
「一体何なんですか?こんなところまでつれてきて」
と、強気で出たのは秋だった。
天変地異でもおこるんじゃないか?
まったく。
「ふふふふふ。まぁ、そうあせるな。話せば長くなるが、聞いてくれるかな?」
と笑顔で答えるのは年のとったほうだ。
こちらが返答に困っていると、向こうは了承したとおもったのか、勝手に話し始める。
まぁしかたない、きいてあげようか。(オイオイ
とりあえず誘拐とかの犯罪の雰囲気とはちがうだろうし。
もし犯罪だとしたら、泥棒がわざわざ大声で「盗みますよー」っていっているようなものだろうから。
「まず、なぜ君たちがこのようなところに連れてこられたかだ。このことは気になっていたとおもう。」
この意見には大きく賛成だ。
「無論、あの公園の出来事がきっかけだな。率直に言えば、あんなことが世間に知られては大変なことになるということだな。だからここに連れてきて口をふさぐというわけだ。納得できたかな?」
何でそんなことがばれてこの世界が大変になるんだ?たしかにおどろくけれど。
おもったことをそのまま口にする。
「それをこれから説明しようということだ。口をふさぐためにな。
まずは、だ。君たちはこの世界が一面だけだと思っていることだろう。しかしもう一つ面がある象徴があのチャオだ。この世界からしてみれば魔法なんてファンタジーの世界だけのものだろう。しかしあのチャオだけは違った。魔法の力というものを操っていたのだからな。結局何をいいたいかというと、もしあの存在が知れると、まずこの世界中がパニックになる。そのあとがもんだいだ。最悪、この世界が滅びる。ここまでは分かってもらえたかな。」
唖然としている僕たちを見て口元を吊り上げるそのボス。
「そこでその事態を防ぐためにわれわれのような組織があるわけだ」
へ?まったく、何がなんだかわけが分からないな。勝手に話し出して勝手に結論に至って。
「ところで、なんでこの世界が滅びることになるんですか?」
こんなことをいうと、ボスらしき人は顔をしかめる。
そんな事考えれば分かるだろ、と怒鳴らないだけでもいいほうだ。
しかし、となりでは秋がうなずいている。
残念だったなボス、こっちには秋という見方がいるんだ!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第215号
ページ番号
11 / 11
この作品について
タイトル
『違い』
作者
ポトッチ(ぽと)
初回掲載
週刊チャオ第157号
最終掲載
週刊チャオ第215号
連載期間
約1年1ヵ月11日