ちがうもの

▽本編▽
違和感が走りました。そして、それとほぼ同時、公園の中ほどに(ちょうど硬い土のところ)黒いフードをかぶったチャオが姿を現しました。フードは人間の小学生が使うような(小学生がフードをかぶっているのなんか見たこと無いけど)サイズで少し、大きそう。姿は一見、シャドウチャオのようにも見えるが、典型的なダークオヨギチャオのようだ。そのチャオは、風を一緒に運んできて、赤い夕日にあざやかにうつしだされる木の葉を大きく揺さぶりました。
「あの力は、今ここに・・・?」そのチャオは低い、とても低い声で、その言葉を口にしました。聞き取りづらいぶぶんもあったけど、どうやら本当に喋っているらしい。それから何かを探しているかのように、あたりをきょろきょろと、見渡しています。秋はそのチャオを、目を丸くして見つめています。ぼくは一目で、このチャオが違和感の元だと直感しました。まるで、何かに操られるように(どうやら抑えきれない好奇心らしい)、そのチャオに、問いかけるような、秋にしゃべりかけるような、よくわからないあいまいなしゃべり方で「チャオが喋った?」この言葉を発していた。秋もどうやら同じことを考えていたらしく、そのほかのおかしなことや、まわりの様子には目が行かなかった(なぜチャオが突然姿を現したのか、など。後々にこの出来事をみなおして、こんなことに気がつかなかった自分が気付かなかったのか恥ずかしくなったりもしたが、なぜぎもんにおもわなかったか、自分に疑問を持っている。)
「気のせいか・・・」もう一度言葉を発し、あたりを見渡すのをやめにした。僕は、そのチャオに問いかけた。「君は何者なの?」そのチャオにはこの言葉は聞こえなかったのだろうか、何も言わず、まばたきをしたら、もうそこにチャオの姿は無かった。「今のチャオは一体・・・」秋は驚きを隠せない様子だった。秋は、赤く燃える空を見上げている。気付くと、何事もなかったかのように、さっきと同じように翔が僕の足を引っ張っている。そっと、その翔の頭をなでてやった。
しかし、自分に対して、新たにひとつの疑問が浮かんだ。喋るからといって”チャオ”に変わりは無いのに、なぜ、ここまでに違和感を感じたのだろう、と。この出会いがきっかけで、僕達の運命の歯車が大きく狂いだしたなんて、この頃の僕は夢にもお思わなかった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第172号
ページ番号
5 / 11
この作品について
タイトル
『違い』
作者
ポトッチ(ぽと)
初回掲載
週刊チャオ第157号
最終掲載
週刊チャオ第215号
連載期間
約1年1ヵ月11日