34話
リーフ「大丈夫ですか?デストラクさん」
そう言うと彼はそっと跪くデストラクに手を差し伸べた。
デストラク「№2。少し聞きたい事が・・・・」
リーフ「何ですか?」
彼はまるで子供みたいな満面の笑顔で答えた。
誰もが心を許しそうになるその顔。
デストラクは重たい口を開いた。
デストラク「貴方から聞いた事と・・・そこの少年から・・聞いた事が矛盾している。」
呼吸を整えつつ彼は言いたい事を伝えたが・・・・
リーフ「そうですか」
何事もないようにそう返した。
デストラクはもちろん納得するわけがなかった。
リーフにつめより語勢を強める。
デストラク「どういうことだ・・・私を騙したのか・・・?答えろ!!」
「!!」
リーフ「えぇ、そうですよ・・・だから問題でも?」
一瞬の出来事だった。
リーフは持っていた剣でデストラクの腹を突き刺した。
デストラクは力なく床に倒れた。
返り血を自分のハンカチで拭き取ると何事も無かったのようにチェイルへと向き直った。
リーフ「君らしくないですね。もっと早く気づくかと思ったのですが・・・」
先ほどとは違う印象を受ける。
同じ笑顔なのに・・・返り血が頬についているせいで恐ろしく感じる。
背筋が凍りそうな恐怖が僕の体を襲う。
―目の焦点が合わない・・・
リーフ「どうしました?もしかして緊張でもなさってるのですか?」
しかし何も答える事が出来なかった。
下手な答えを返せば殺られる・・・
今の僕の頭ではこれしか思いつかない。
リーフ「図星ですか・・・じゃああちらをご覧になさってくださいよ。」
リーフの視線を目で追った。
その先には・・・
チェイル「・・・えっ・・・」
迂闊だった。
二人は敵に背後をとられ、全く身動きできない状況だった。
僕が感情に流されていたあの間に・・・
ヴァルダは銃を持った職人に・・・
アイさんは首元にナイフを突きつけられている。
背中にシャベルを背負っている所から奴も職人だろう
チェイル「大丈夫ですか!?」
リーフ「二人の命の事ですが・・・あなたの答えで決まりますよ。」
チェイル「・・・何ですか?」
やっとまともな返事が口から出るようになった。
悔しいが本当にリーフの思惑にはまっている・・・
リーフ「SVC・・・君の体内でどれだけ成長しているかを見せてください」
チェイル「!!」
周りの空気がその一言で凍った気がした。
アイ「SVC・・・てまさか!!」
アイにはその単語を思い出したらしい。
奴等のファイルに入っていたその文字が。
ヴァルダ「S・・・V・・・?」
リーフは更に言葉をすすめる。
「さぁどうします?せっかく手に入れた【道具】を捨てますか?」
チェイル「・・・」
返事が無かった。
チェイルの体が蒼い光で包まれていった。
そして・・・・
蒼い光が消え去った時にはもういつものチェイルではなかった。
アイ「チェイル君・・・?」
「俺をわざわざ指名するとはな・・・リーフさんよ!!」