30話
軽く瞬きをしてみても見えるのはいつもと同じ天井。
チェイル「夢・・・?でも・・・」
そう妙にリアルな夢だった。
すごく鮮明な夢で会話の内容、場所の光景等、まるで今までそこに居たかのような感覚。
チェイルは起き上がり、ベットの上でストレッチをした。
何日も眠っていたのか、身体は鈍っている。
チェイル「んっ?」
異変を感じたチェイルは五感を働かせ、違和感の原因を探った。
何かに見られてるわけでもなく、物音も聞こえない・・・
軽く自分の身体を臭ってみるとアルコールの臭いがしていた。
吐き気がするようなこの臭い。十中八九はお酒だろう。
チェイル「僕・・・師匠の部屋に行ってたのか・・・」
そういえば数日前に部屋のベットにお酒をこぼしたと聞いていた事を忘れていた。
気を失って帰ってきた僕は一旦その部屋で介抱してもらったという事だ。
―とりあえず・・・シャワーを浴びよう
30話
救援要請
その頃
アイ、ヴァルダ、フラン達はミーティングルームで何やら話し合っていた。
彼等の他にもフウやレビの姿もある。
チェイル「どうもすいません 遅くなりました。」
アイ「チェイル君!」
ヴァルダ「や~っと目覚ましやがったな!」
フラン「いくら何でも2日も寝たらめざめばっちしでしょ?」
―二日も寝ていたのか・・・
それなら身体が鈍る理由もわかる。
休みすぎて逆にしんどくなる事だってよくある事だ。
チェイル「で・・・今は何のミーティングを?」
フウはただ黙って一枚のプリントをチェイルへと渡した。
チェイルはタイトルに目を通した。
「古代文書 Seven's Prey 」
後に産まれる遠い我等の子孫達へ
このような書き出しで始まっている原文訳
要約にはわかりやすく纏められていた
太古の昔、未来へと宛てた手紙である。
古代の文明は洪水によって滅びた。
今と同じ、もしくはそれ以上の文明でも防げなかった洪水が現代にも起きる可能性あり。
洪水の起きる兆候は昔から観測できるのだが、結果滅びた
↓
普通の洪水ではない事である。
↓
鍵を握るのはタイトルにもある【七つの生贄】
チェイルは夢で見たことと目を通しているプリントの謎が見事に消化されている事に驚いた。
さっきの出来事は夢で済まされない・・・
ここまで見事に符合するだろうか・・・
しかし、一つだけ疑問が残る。
これを集めて一体、何をしようとしているのか。
考えてみても今はまだ確実な情報がすくなすぎる。
もう一度寝たら思い浮かぶだろうか・・・?
そんな事を考えていた時だった。
テーブルの上に置かれた無線機が振動している。
フウが代表してその無線機を手に取った。
フウ「こちら黒影のフウ、レイ応答しろ!」
「・・・残念でしたぁ~レイって奴ではありませ~ん」
おどけた口調がミーティングルームに響く。
フウ「レイはどうした?」
「あいつ?あのハンドガンの餓鬼だろ?」
フウ「質問に答えろ」
「そんなこと言ってもいいの?あいつが死んでも俺は痛くもねぇんだぜ」
フウ「そこにいるんだな」
「通信機があるって事から予想がつくだろう?まぁ助けるのなら急ぎなよ 遅くて着いた時には死んでました♪な~んてな」
そう言い残して無線は切れた。
チェイル「師匠!事情はわかりました。僕が行きます」
アイ「私も行くわ!」
ヴァルダ「じゃあ俺も」
フウ「すまんな・・・頼む」
レビ「罠の可能性もあるが・・・」
チェイル「大丈夫ですよ!僕も職人です!!」
アイ「私達で切り抜けてみせるわ」
ヴァルダ「っっしゃぁ 燃えてきたぁ!」