第15話・対峙

ティルは心を決め、
静かに、しかし大きく深呼吸をしました。
ティルの心臓がコレでもかというほど強く脈打ちます。

そんな、ティルをあざ笑うかのように
その妙な物体はティルの視界をゆらゆらと動いています。

「スゥゥゥ・・・」
ティルは最後にもう一度深呼吸をすると、
一気に地面をけって、妙な物体に飛びかかりました!

「#$&(‘&)’()・・・!」
ティルのよくわからない気合の叫びがガーデン一帯に響き渡り、
後を追うように、もうひとつの声があがりました。

「痛って~~~!! やめろ~~!」
そんな、叫び声も耳に入らずティルは、
一心不乱に妙な物体に噛み付いています。

「誰だ、お前!? 
 それにとにかく噛み付くのをやめろって~!」
妙な物体が意外とやわらかかったため、ティルはもうひとがんばりだと
さらに力をこめます。

「馬鹿! 放しやがれ~!」

「・・・やめて~~!」

そんな叫び声とともに
あまりにも、体が左右に揺さぶられるので
ついにティルは振り落とされてしまいました。

「うわぁ」
ティルは勢いよく、砂浜に投げ出さました。
砂の上に落ちたとはいえ、ティルの体はあちこちがずきずきと痛みました。

は・・・早く逃げないと・・・

自分の力では勝てないと本能的に悟ったティルは、
逃げ出そうとしましたが、立ち上がろうと力を入れた時には
相手はもうすぐそこまで迫っていました。

もう、だめだ・・・

そう思ったティルが、あきらめて目をつぶると
相手は、ティルを軽々と持ちあげると、
こう問いかけてきました。

「お前、チャオじゃないか。どこから来たんだ?」

その声が意外にも、優しそうだったので
ティルは恐る恐る目を開けました。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第123号
ページ番号
15 / 16
この作品について
タイトル
チャオ×チャオ
作者
HEPA
初回掲載
週刊チャオ第103号
最終掲載
週刊チャオ第124号
連載期間
約4ヵ月28日