第14話・遭遇
「ブゥゥ・・・」
そんな鈍い機械音とほぼ同時に
ティルの体にいつもどうりの感覚が戻ってきました。
さっきまでほとんど横からさしていた太陽の光が
強烈に上から降り注ぎ、不意にティルは顔を覆いました。
もうお昼なのだろうか。
そんな疑問が頭に浮かびましたが、そんな疑問に答えてくれる相手はいませんでした。
「誰かいないのかなぁ」
そんなことをつぶやきながらティルはあたりを見回します。
ティルが立っている場所から数メートルは背の低い植物が生え、
その向こうには、これも数メートルほどの砂浜。
その向こうには果てなく続くような海・・・
そう、ここはエッグマンのチャオガーデンです。
といってもティルはそんなことを知る由もありません。
一人っきりは心細いし、誰かにキャスのことを聞かなければ・・・
そんなことを思いながら、ティルがなれない草に脚をとられながら歩いていくと
視界にふしぎなものが入りこんできました。
短い草ばかりのこの場所では珍しく背の高い草の生えた場所、
その奥にふしぎなものが浮かんでいます。
紫色の球体で、大きさはティルの握りこぶし程度。
それに小さなとげが生えています。
慎重に近づいてよく見ると、
小さく揺れていて、ティルにはまるで生き物のようにも見えます。
危険な生き物かもしれない・・・
とっさにそう考えたティルはコクリとつばを飲み込みました。
逃げようかとも思いましたが逃げ切る自信はありません。
それに、キャスは『アイツ』に捕まえられたのかもしれない。
という思いが、頭の中に浮かんできました。
不意をつけば、僕でもやっつけられるかもしれない
ティルは心を決めると、口をむんずと結びました・・・