第13話・旅立ち
これは、ほかのガーデンと一瞬で行き来ができるんだ。
でも、お前たちは使っちゃだめだぞ。・・・・・・
以前ソニックに言われた言葉を
『ワープ装置』の前でティルは心の中でもう一度復唱しました。
今から自分のやろうとしていることは、
ソニックたちの言いつけを破ることだということを再確認するために。
でも、今キャスを探すのをやめることは、
もっといけないことだということを再確認するために・・・
「すぅ」
ティルは大きな深呼吸をすると、
目をつぶって『ワープ装置』に飛び乗りました。
その瞬間、『ワープ装置』はブンッと
ひときわ大きな機械音をあげ、小刻みに震えだしました。
・ ・・
ティルが周囲の様子を伺おうとして
目を開けようとすると、少しずつ周囲の音が聞こえなくなっていくのを感じました。
立っているのか、座っているのか。
宙に浮いているのか。
暖かいのか、冷たいのか。
それらすべてがわからなくなるような奇妙な感覚に
ティルの心の中の今からたどり着く場所への不安は消え去ってしまいました。
ティルがそんな始めての感覚を楽しんでいるころ、
朝日の差し込むチャオガーデンには、きれいな声と不思議な音が響いていました。
まだ幼さの残る少女の声と、雨の後の湖に響くような水滴の音、
そして、さわやかな草原の草木の香りが・・・・・・