第11話・決意
「なにが起こったんだろう?」
ティルは頭の中で、またこの言葉を呟きました。
散々自分の頬をつねりまわし、
ティルは何とか今ここで起こったことを事実として受け入れようと努力してみました。
「これは夢だ。」
そう思いたいのでしたが、血のにじむ手の痛み、
そして何より、友の消えていった「白い物体」の存在がそれを許してはくれませんでしたから。
「きっとキャスはすぐに出てくる。」
そう思ったティルはその場に座り込みました。
いつか、友がそこから出てくることを信じて・・・
「白い物体」。ティルにはそれが何なのか、
キャスが何故こんなものの中に入っていたのか、到底見当がつきませんでしたが、
それを眺めているだけで、ティルの目からは涙が落ちていきました。
・・・チャオガーデンの天井、ガラス張りの窓からは
ついに朝日が顔を覗かせました。
昨晩の軽い冷え込みのせいか、チャオガーデンの人工芝にできた露に太陽の光が反射しています。
そして、彼はまだ昨日と同じ場所に座っていました。
ひとつ違うことは、その胸にひとつの決意があることでした・・・