第7話・夜
エミーが帰ってしまうと、
ガーデンの中は少しばかり静かになりました。
でも、当然のことながらそれが二人の生活に影響を及ぼすことは無く、
いつものようにゆっくりと 二人の時間は流れていきます。
しかし、楽しい時間は短く感じるもの、
ティルが気付いたころには、
ガーデンの天窓から見えるのは、真っ黒な夜空でした。
ティルが軽くあくびをしたのが目に入ったのか、自分が眠いのか、
キャスは「寝ようよ。」と一言言うと早々とそこに寝転がりました。
いつもはもっと遅くまで遊んでいるのに、と思ったティルの問いかけに
「なんか、今日は眠いんだ。」という答えを返すと、もうキャスは寝息を立てています。
この夜のガーデンで、一人で起きている自信はとてもないし、
キャスを起こしてしまうのも気が引ける。
そんなことを考えたティルは仕方なく寝ることにしました。
・・・・・・眠くない。
寝返りを散々繰り返した挙句にティルは思いました。
仕方なく目線を宙に漂わせていると、夜空に月が浮かんでいるのが目に入りました。
さっきは見落としていたのか、それとも今まで雲に隠れていたのか・・・
満月を眺めながら、自分に寝む気が襲ってくるまでの間、
ティルはそんな取り止めの無いことを考えていました・・・・・・
・・・・・・!
それからどれほどの時間がたったのか、
ひと時の間遠のいていた感覚が、なぜか急にティルに戻ってきました。
ティルは起き上がり、辺りを見回しますが、どうやらまだ朝ではないようです。
こんな不思議なことはティルには初めて。
何故こんなことがおきたのか確かめるべくティルは起き上がりました。
その瞬間、ティルははっとして振り返りました。
ですが、ティルが先ほど眠りにつくときは、
その場所で寝息を立てていたチャオはもういませんでした。