第6話・皆
「きゃ~~!」
昼下がりのチャオガーデンに大きな声が響きます。
ガーデン中に響くその声に
耐え切れずキャスとティルは耳をふさぎました。
その、耳がガンガンするような大声を止めるため
二人も彼女の耳元で呼びかけてみましたが、
当の本人の耳にはまったく届いていないようで、
その声がやむ様子はありません。
しかたなく、二人がガーデンの反対側で
耳をふさいでうずくまっていると
息が続かなくなったのかやっとその声はやみました。
安心した二人が彼女の元に駆け寄ると、
彼女はティルにこんなことを言いました。
「この絵、ソニックでしょ?」
どうやら彼女は
ティルの書いた「あの人」の絵のことをいっているようでした。
しかし、ティルは彼女の言う「ソニック」が
誰なのかがわかりません。
どうすればいいのかわからなくなり、
隣にいたキャスののほうを見てみると
キャスの頭の上にも自分と同じく?マークができていました。
「そっか~~、二人とも私たちの名前わかんないのね。
よ~し、あたしが教えてあげる。
その二人の様子を見ていた彼女がいいます。
それから彼女は二人の描く絵を見て、
順番にその人の名前を二人に教えてくれました。
まず最初にさっきまでティルが書いていた「あの人」は
「コレはソニック。ほかの人より重要だから
よ~~く覚えとくのよ!」
次にキャスが描いた「機械好きの彼」は
「コレはテイルスね。
まあ、ソニックの弟分ね。
三番目の「無愛想だけど優しい彼」を描くと
「ナックルズね。ソニックの友達みたいなもんよ。
まあ、所詮友達で、私とソニックとの関係に比べたら・・・」
とキャスが覚えきれないほどいろいろなことを。
四番目の書いた「のんびり家の彼」は
「ビックね~~。最近見ないけどそうしてるのかしら?」
最後の「触ると冷たい彼」は
「ロボットさんも来てたんだ。
え~~とこの人はねぇ・・・
そうそう、エッグマンが『ガンマ』って呼んでたわね。
きっとガンマって名前ね。」
・・・とそこまでいうと、
彼女は
「そうだ! 今日は見たいドラマがあるんだわ。 私、帰るね。」
といって立ち上がりました。
みんなの顔を描くのに時間がかかったせいで、
もう日が傾きかけていました。
二人がさよならを言うと、
彼女は最後に
「忘れてた、私の名前はエミーだよ。」
といって帰っていきました。