第15話「怒りと悲しみを胸に」
僕はすぐさま仰向けに倒れているチャサリンの側へ駆け寄った。
そしてチャサリンの名を呼び続ける。
すると、チャサリンは顔を歪めて目を開けた。
笑顔を作り、消えそうな声で話す。
チャサリン「シルバー・・・怪我、無い・・・よね。良かった・・・」
苦し紛れにそう言いながら、僕に手を差し出す。
僕はその手を強く握った。
そしてチャサリンはまた、途切れ途切れに話し出した。
チャサリン「私・・・大丈夫・・だから・・・。絶対、シルバーを1人になんかに・・・させない・・から・・・。約束する・・・」
シルバー「やだよ・・・。そんな事言っちゃ・・・。死なないでよ・・・」
涙が溢れ出て声が出にくかった。
チャサリンは続ける。
チャサリン「そんな悲しい顔しないで・・・。心配しなくても・・・大丈夫・・・。私を・・信じ・・て・・・」
途端に、僕が握っていたチャサリンの手から、力が抜けた。
はっとチャサリンの顔を見ると、目は固く閉じられたいた。
けど、その表情はおだやかに見えた。
シルバー「チャサリン・・・?」
僕は何度も呼びかけた。
しかし、彼女が目を開けることは無かった・・・。
何でだよ・・・。どうして・・チャサリンが死ななくちゃならないんだ・・・?
チャサリンは何も悪くないのに・・・。
悲しみは、次第に怒りへと変わっていった。
フィンレイに対する怒りが・・・。
僕は涙の線をそのままに、キッとフィンレイを睨みつけた。
あいつが悪いんだ・・・全部・・・アイツが!
フィンレイ「悲しいだろ?僕が憎たらしいだろ?全部放っちゃえよ・・・全部・・・」
僕は怒りを抑えきれなくなって、フィンレイの方を向き、立ち上がった。
わなわなと震えだす僕。すると、僕の体は眩い光を放ちだした。
フィンレイ「そうだ・・・。その力だよ・・・。もっと見せてくれよ・・・」
もうフィンレイの言葉なんかに聞く耳は持たなかった。
今なら・・・今ならやってやる。
レインボーダスト・・・。まだ使った事なかったっけ?
その時、誰かの声が頭の中でした・・・。
――…シルバー、聞こえますか?…――
シルバー「だ、誰?」
全く聞き覚えの無い声。
頭の中から聞こえてくる・・・なんだか気味が悪い。
――…私は、破壊の神・・・シリアル。究極魔法を創り上げました・・・。
貴方はまだ、完全には目覚めていません。究極魔法を解き放てば・・本当に目覚めた事になります。そう、究極魔法の使い手として・・・…――
僕はシリアルの声を聞きながら、空へと舞った。
シルバー「もういいんだよ、シリアル。そんな事・・・。僕はフィンレイを吹っ飛ばしてやりたいだけなんだ・・・!」
――…・・・分かりました。では、今から言う私の言葉を繰り返しに叫んでください…――
シルバー「・・・分かった。始めて・・・」
――…封印されし究極魔法・・・…――
シルバー「封印されし究極魔法!」
――…今こそその力を解き放たん…――
シルバー「今こそその力を解き放たん!」
――…破壊の神、シリアル・・・…――
シルバー「破壊の神、シリアル・・・!」
――…我に力を与えよ…――
シルバー「我に力を与えよ!」
シルバー「レインボーダスト!!」
そこまで言い切ると、両手を挙げて振り下ろした。
その途端、僕の周りから虹色のカッターのようなものが現れ、四方八方に飛び散った。
フィンレイはその餌食にされていく。
フィンレイ「素晴らしい・・・。これが僕が欲しかった力・・・」
傷だらけなのに、まだそんな事・・。
――…シルバー!地上に降りてください!貴方まで巻き込まれます!…――
僕はシリアルの言うとおり、地上に降りた。
上空のあちこちで爆発が起きていた。
そして辺りが虹色に光り、それが消えた時、フィンレイも居なくなっていた。笑い声と共に・・・。
やっつけたのかな・・・。フィンレイ・・・。
とりあえずフィンレイは居なくなったから・・・。
・・・チャサリンは!?
僕はチャサリンの元へ向かった。
チャサリンは、さっきと同じくまだ目を閉じたままだった。
シルバー「チャサリン、フィンレイはやっつけたよ・・・。だから起きてよ。さっき約束したじゃんか・・・。チャサリン・・・」
僕はずっとチャサリンを呼び続けていた。
でも、レインボーダストを使ったせいか、急に眠くなって・・・。
「・・・シルバー・・。大丈夫・・・?」
ふいに聞こえたその声。
僕はゆっくり目を開け、体を起こした。
大分寝てたのかな・・・。辺りは真っ暗で、疲れも取れてる。
あ、そーいえばさっきの声の主って・・・?
声がした方を振り返ると、体から白い光を放ち、優しく微笑みかける、チャサリンの姿があった・・・。
続く
最近発行遅すぎですー・・・。
さらに感想も書いてましぇん・・・。
ごめんなさいっ!!
えと、次回のサブタイトルは「純白の天使、復活」ですー。
ではではっ!(逃走